2016/03/02

Mountain Rescue Training


20160228 sun 福井県山岳連盟主催・冬山遭難救助訓練講習会

経験値とスキルはまったくの別物なのだと改めて思う今日この頃・・・
あれから、もう4年の歳月が流れた。あっというまの年月だった。
ステップアップしてゆく者もいれば、留まる者もいる。

4年前にもここ福井で冬山安全登山教室を受講している。
そしてこの4年間で多くの山の経験を積んだが、スキルアップしたとは言い難い。
むしろ体力面ではあきらかに右肩下がりなのが現状だろう・・・

福井県山岳連盟に所属する遭対協の先生方は4年前と同じ顔ぶれに安堵。
今回kumiちょはガラス作品の梱包に忙しく、好人ちゃんと二人での受講。
僕ら二人以外は全員福井県民という完全アウェーだったが優しい人ばかりだった♫



早朝に好人ちゃんにピックアップしてもらい大阪を出発。
福井県勝山市の谷トンネル手前の斜面で講習会は行われた。

白山は目と鼻の先なのだが取立山に隠されて目視はできない。


最初の講師は遭難対策委員会の増田さん。
それに渋谷さんが加わり雪崩が起こるメカニズムを詳しく説明された。

雪崩埋没死亡者の3/4以上が窒息死というデータあるそうだ。
仮に酸素があったとしても埋没20分で低体温からの凍死に近づくようだ。
埋没30分後の生存率は10%を下回るという。


そして1/4近くが外傷死なのだそうだ。雪崩の速度は200km/h近くに達する。
重く固まった氷のようなブロックが飛んでくると考えた方が良さそうだ。
氷の塊と一緒に流され叩きつけられ押し潰される。そんなイメージだろう。

以外と少ないのが凍死で全体の1%ほどだそうだ。
雪崩埋没者の救助はとにかく敏速にスピードが全てなのだ。


斜度20度以上の斜面ではいつ雪崩ても不思議ではない。
そのような場面でのトラバース等は団体で歩かない。一人づつ順番に敏速に歩く。
ローピで互いをつなぐコンテはしてはいけないと講師に言われた。
雪崩たらセルフ無しで腰がらみや肩がらみでは絶対に止められないから。

もし上部で雪崩れるの発見したらピッケルもザックも投げ出すこと。
雪崩に押し流されたら、とにかく泳ぐようにもがく事が全て・・・
最後は酸素を少しでも確保するために両手で顔の前に空間を作ること。

天候不順な荒天の冬山には入山しない。勇気ある撤退を早める事が命を救う。


遭対協の講師が雪面をスノーショベルでカットし、レイヤードされた雪の層を説明する。
受講生は順番に雪の層に指やピッケルを突き刺す。
新雪は当然やわらかく、下の層に行くほど硬く締まっている。


先生指導のもと全員で雪の弱層テストを行う。
雪の斜面を掻き分けて筒状の円筒形を掘り出す。
雪の層ははっきりと分かる。新雪部分を両手で掴み手前に軽く引張てみる。


簡単に剥離する。これがいわゆる表層雪崩だ。
雪はいとも容易く簡単にズレる。
斜面をトラバースするということは雪を切断し雪崩を誘発する行為でもあるのだ。


お次がビバークするための雪洞を掘る。
暴風雪が吹き荒れる外気温氷点下25℃でも雪の中は0℃以下にはならない。
スノーショベルが無ければ時間はかかるがピッケルでも雪は掘れる。


体が雪洞に入るようになれば中の雪を切り崩しツェルト等に包み外へ出す。
二人いれば仕事も早い。切り崩す雪は極力ブロック状にすること。
雪洞の周りを囲い風除けになるから。


雪洞の入り口はなるべく狭くすること(作業性はかなり悪いが)。
風の進入を防ぎツェルトを張る面積を少なくできるから。


講習会は目まぐるしく展開してゆく。
お次は雪庇の破断箇所は必ずしも上部アールの頂点ではないということ。

下記の画像では雪庇の発達はほとんど無い。
仮に画像左側へ大きく成長していたと想像する。
雪庇の破断箇所は緑のウェアの人が立つ辺りだと考えそうだが、
実際には青のウェアの人の足元から破断することあるそうだ。

雪庇でのトラバースは可能な限り雪庇の端から遠い箇所を歩くこと。


皆さんお待ちかねの雪崩による埋没者救助訓練!
深さ50cmほどの棺桶的四角い穴を掘る。
うつむいた姿勢で寝て、両手で口の前に空間を作る。


皆で雪をかけ足で踏み固める。そしてゾンデ棒でガンガン突く。
雪の下の地面は硬いが人の体は柔らかい。その感覚は明確に手に伝わる。


埋没者とはトランシーバーで意思の疎通を図る。
厚さ50cmの雪があれば埋没者の怒鳴り声は、ほぼ聞こえない。
雪は音を吸収する性質がある。
しんしんと雪が降る夜は音がしない感覚と同じ。


で、順番に希望者を埋没しゾンデ棒でガンガン突く参加者達♫
肉体を突くムニムニ感を楽しんでいるようだ(笑


酸素が希薄になる前に埋没者を掘り起こし生還させる。
たかが深さ50cmでも埋没者は全くもって身動き取れないという事実。


福井の山ガールも勇ましく埋没訓練を受けたのに・・・
大阪のヘタレなオヤジ2名は埋没経験を断固拒否ったのであった・・・(恥


その後は少し早めのランチを全員でスノーテーブル囲んで楽しんだ。
福井山岳連盟所属の参加者がサクサクとダイニングを製作し楽しいランチタイム♫


大阪のオヤジ2名は完全アウェーなのに福井県民は優しかった♫
あれこれと気を使っていただき感謝な1日だった。

大阪出身の福井の山ガールは手作りスイーツを沢山持参してくださった。
食後のメンズ達は嬉々として口へ頬張る手作りスイーツは絶品だったな〜♫


食後はビーコンによる埋没者発見救助訓練だ。
ビーコンはターゲットまでの正確な距離とおおまかな方向を指示してくれる。


講習会がスタートする前に先生方が埋めたビーコンを探すのだ。
雪の上はご丁寧に偽トレースだらけ・・・
どれがトラップでどれがターゲットかは見た目では分からない。


4人が一組のレスキューチームとなりビーコン2台、ゾンデ棒とスノーショベル2個。
全力で雪道を登り下り埋められたビーコンの入ったザックを探す。


救助時間は少ない。限られた時間の中でビーコンの数字(距離)をたよりに
探すも方向性を無視しがちになる。練習とはいえ焦りが出てくる・・・


僕達のチームは大半がビーコン初心者で操作に長けているとは言い難い。
ようやく本命ポイントへ辿り着いてからはゾンデ棒で突いて!突いて!突いて!
スノーショベルで掘って!掘って!掘って!・・・かなりの滝汗!


下記画像は埋没者救助ではなく埋没死亡者の探索風景を先生方が見せてくれた。
捜索隊は一列になり右足の前にゾンデ棒を突き刺す、
何も無ければ次は左足の前にゾンデ棒を突き刺す。
何も無ければ一足分だけ前進して同じ事を繰り返す。ひたすらこれの連続なのだ。
もし変化があれば静かに手を上げ、後ろに待機しているショベルチームに場所を指示する。


雪山での支点構築の指導と練習。
デッドマンやスノーバーでの支点構築の説明。

今回は新たにブーツアックスビレイのノウハウも教えていただいた。
これ簡単で制動も安定しているからかなり使えると感じた。


雪山で捻挫や骨折などで自力歩行が不可能な場合。
30mでもロープがあれば束ねて8の字にして輪っかに足をいれてもらい、
それを肩にとおすのだ。
下記画像は失敗例、8の字が小さすぎて肩に掛からずの巻(笑


もう一つはザックの中身を出して、ストックにツェルトや
レインジャケット等を巻き付ける。
それをショルダーハーネスの最下部に通し、そこにまたがってもらい背負う。

但し、常人が人を背負って山道を何キロも歩ける筈も無い。
仲間もしくは登山者と交代で担がなけらば体力は持たない。
人を人力のみで担ぎ降ろす場合、最低でも3名以上の救助者が必要。


春のような陽気の中で和気あいあいと楽しい講習会を受講できた。
冬山遭難救助訓練講習会はどこの山岳連盟でも毎年必ず行われている。
山岳会に属していない登山者は受講すべきだと思う。

もしもの時に仲間を救助できる引出し(スキル)は少しでも多い方がいい。
それは自分自身の安心材料にもなるのだから。

10 件のコメント:

  1. >埋没経験を断固拒否ったのであった・・・

    拒否ったんかい^^;
    いや、まぁ、ね
    それ体験したからって、何がどうなるものでも無いしぃ
    いやや言うてるヒトむりくり埋めるのも大人気無いしぃ
    いやね、実はワタシ、閉所恐怖症の気があるものでして
    ご同輩、お気持ちはよく分かりまする(汗
    アゥエーとか言いながら、口説くときは口説き
    スカすときはスカす、さすがナニワオヤジですね^^

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  2. 夜な夜な思いっきりワロてもうたがな~ww
    eroero君、ゲッスン・・・の写真。あれサイコーやね。
    ほんで僕は遠まわしに拒否られてるやん(^_^;)

    まぁ、笑いありのたのしい講習会でしたが
    とてもよい体験、勉強になりました。
    たまには僕らだけでも練習とかしような~

    1枚目の穴からの写真いいやん♪ いただくね!

    ほんとお疲れさんでした。

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  3. 今年も福井の冬山訓練行って来たんやねぇ~
    こういう講習は、僕らも平日なら受けたいんやけどね..........
    絶対、為になるからね!

    好人ちゃんはピンクJKTの福井の山ガールさんに上手にあしらわれてたんやぁ~(^_^)

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  4. えれぇこった2号2016/03/02 23:54:00

    講習会の内容より、好人さんがeroero-kunやゲッスンと同じ行動をしてた事にビックリ!(◎_◎;)
    二人が加わってたら、講習会会場はとんでもない事になったのではと。。。
    eroero-kunとゲッスンが参加してなくて良かったなと(;^_^A
    講習会でみっちり教えて貰うと、良いですね!!

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  5. スロトレさん

    埋ってみたい気持ちもあり・・・
    正直かなり心の中で葛藤があったのですよ(笑
    せやけど狭い暗い身動きとれへんてパニックまっしぐらですやん(汗
    大人げなく泣きそうな大声あげるのも恥ずかしいでっしゃろ?
    そやさかいジェントルに拒否ったわけですよ(爆
    ナニワオヤジは全国区で活躍するのです!

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  6. 好人ちゃん

    事実無根な妄想ストーリーを作ってゴメンね〜(笑
    でもワロタやろ〜♫

    そやけど朝から昼過ぎまで濃密な講習会やったよね!
    講師も参加者もジェントルな方ばかりやったしね。
    また入山した時にでも練習しよう!
    はんまお疲れさんでした〜

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  7. totoちゃん

    山岳連盟の講習は大概休日やもんねぇ・・・
    あれこれ吸収できる技術と経験はほんま大切やわ〜
    ってかtotoちゃんが早く山岳ガイドになって色々教えてや!(笑

    好人ちゃんの「吹き出し」は僕の妄想ストーリーやからね!
    好人ちゃんの無実を証明しときます(笑

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  8. kakaちゃん

    好人ちゃんの「吹き出し」は僕の作り話なので悪しからず(笑
    ジェントルな好人ちゃんはゲッスイ事してませんから〜
    でもeroero-kunとゲッスンが参加してたら講習会が前に進まへんかったかもね!
    そやけど現役の遭対協の人に教えてもらうってなかなかチャンスが無いから、
    ほんまええ経験ができたよ!

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  9. トップの穴から好人さんの写真、めっちゃいい!!
    さすがやね〜。カッチョイイ☆

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  10. kkちゃん

    構図もスキルかもしれへんけど、
    カメラの腕もdaiちゃんの足下にも及びまへん・・・
    そやさかい実はフォトショで加工しまくりな一枚やねん(笑

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