2014/06/27

Sagarmatha


2014 June 「神々の山嶺」映画化決定!

山岳小説は数多あれど山岳冒険小説というカテゴリーでは新田次郎の右に出る者はまだ居ないと考える。 佐瀬 稔も沢木 耕太郎も泉 康子も笹本 稜平も井上靖も山際淳二も小西政継も素晴らしい作家だと思うが新田次郎に肩を並べた言える作品は少ない。

だが少なくとも夢枕獏の「神々の山嶺」は山岳冒険小説として一歩抜きん出ていると思う。エンターテイメント性にも優れており息もつかせぬストーリー展開は秀逸で緻密で豪快だ。そんな山岳小説の傑作が映画化されるらしい。これは素直に驚いた。

原作者の夢枕獏のコメントも期待感に溢れている。
「なんということであろうか!この物語が、現実に映画化される日が来ようとは。現実にヒマラヤの高所まで、カメラを持ち込み、俳優も監督、スタッフも、全員が行くことなしには考えられない映画である。それが実現するのである。ここまで待ってよかった。凄い映画になると思う」

すでにロケハンは始まっているらしい。来春にはネパール等の現地にて本番撮影も始まるらしい。メガホンを取るのは平山秀幸監督なのだがこの監督の作品・・・一度もピントがあった事が無いのが不安なのだが・・・

それよりもキャストに注目したい。カメラマン深町誠はまあ無難にシュッとした爽やかな男前な俳優を選んでおけば問題ないと思う。問題は天才クライマー羽生丈二の配役だ。屈強でストイックで無謀で身勝手で一直線だけど深い愛もある。ハリウッドだったらマット・ディモンあたりがはまり役なんだろうなぁ。

あとは羽生や深町と関係も深いアン・ツェリンの配役にも期待したい。シブイシブイいぶし銀の名脇役であってほしいと願う。

で、ラストはサガルマータ頂上付近でのビカールサンのラストシーンの出来映えだ。マロリーの側に座っているのか? それとも這いつくばり目だけは上を目指すのか? 妄想は膨らむ。 思い出せば涙が溢れんばかりに想像してしまう。


2014/06/15

Ladakh Julay


2014 June 「遥かなるラダック」

インド北部のジャンムー・カシミール州にラダックは位置する。
ヒマラヤ山脈とカラコルム山脈に囲まれたインダス河の源流域だ。
平均高度が3500mを超える山岳地帯はインドで最も標高の高い地域になる。

かつてはラダック王国が存在したがカシミール紛争後にインド領となった。
中国やパキスタンとの未確定の国境に接しているラダック。
国境紛争が沈静化し外国人の入境が許可されてから今年でまだ40年だ。

ラダックには数多のゴンパ(チベット仏教僧院)がある。
中国に占領されたチベットよりもチベットらしさが色濃く残っている。
曼荼羅美術の集積はチベットを凌ぐとさえ言われている。

冬の間は5000m級の峠も凍りつき外界から閉ざされる厳しい環境。
短い夏のバケーションに欧州からのバックパッカーは多い。
日本からスルーハイクのためのトリップはまだまだ少ない地域だ。

2014/06/08

Green Corridor / second day


20140531 sat - 0601 sun 近畿の秘境「大杉谷渓谷」下山日

長らく閉ざされていた神秘の渓谷に清々しい黎明が訪れた。
深く切り立ったV字渓谷に朝日が差し込み”今日”が生まれる。
秘境と呼ぶに相応しい名瀑や巨大岩壁が荘厳なる佇まいで圧倒する。

美しくも険しい原生林の森には多雨地域の証でもある苔類を育む。
数多の表情を併せ持つ近畿屈指の秘境は優しい笑顔で迎えてくれた。
梅雨入り前の最後の高気圧は素敵な時間を与えてくれた。

午前四時・・・窓の外は今朝の色と音のリズムが生まれる。
早起き鶏達は出発の準備に余念がない。僕達も静かにゆっくり始める。
山小屋の朝飯は午前五時半。客達が朝食中の横を通り僕達も旅立った。

2014/06/04

Green Corridor / first day


20140531 sat - 0601 sun 近畿の秘境「大杉谷渓谷」入山日

近畿の秘境と呼ばれる大杉谷は日本の秘境百選の一つである。
下の廊下を擁する黒部渓谷や新潟県の清津渓谷と共に日本三大渓谷でもある。
三重県側の宮川第三発電所と大台ケ原を結ぶ登山道はまさに緑の回廊なのだ。

標高差1400mの行程は約14km程のスルーハイクになる。
2004年の水害で通行不能になっていた崩壊箇所を含め、
約10年ぶりに今年のGW前に全線開通となった。

だが交通手段が問題となる。早朝に登山口を出れば夕刻にはゴールできるだろう。
下山地点に車をデポしても車の回収に約4時間ほど要するという。
複数名のパーティーで車が2台必要になる。帰宅は深夜を回るだろう。

なので一般的には公共交通機関を使い山小屋で一泊し翌日下山がセオリーらしい。
個人的にはテント泊したいがテン場もなく唯一ある避難小屋は日出ヶ岳に近すぎる。
ちなみにトレランで大台から宮川第三発電所までピストンする猛者もいるらしい。