2011/10/05

Minority Report


20110924sat〜25sun ジャンダルム縦走・後編

北緯36度17分16秒 東経137度38分37秒
標高3163mの氷食尖峰。これが憲兵(ジャンダルム)のスペック。
ピラミダルなホルンは穂高稜線に聳える孤高のランドマーク。

今回の冒険はあえてソロの選択はせずパーティーを組んだ。
ただ当初からこの連休ありきで、ソロorパーティーのこだわりがなかったのも事実。
だが信頼できる山仲間二人に声をかけた。互いのタイミングが合う時の答えは早い。

図らずも三人のベクトルは目指す方向と勢いが近かったのだろう。
山遊びのカテゴリーとしてのジャン縦走はマイノリティーなのかもしれない。
だが山遊びにおけるマジョリティーやコンサバでは時に退屈すら覚える。
出来れば時折、向こう側で遊びたいと願う。



穂高稜線としては驚くほど静かな夜が明ける時。
早起き鶏達はヘッデン装着で月夜の奥穂高を目指している。
ピークでの御来光を堪能しに行くのだろう。 いってらっしゃ〜い(笑


上空を突き抜ける偏西風も飛騨側からの上昇気流もない静かな朝。
やわらかな秋の陽射しが穂高の稜線を優しく包む一時。 だが・・・
非日常の世界に日常を感じてしまう小屋前の混雑は出勤の雑踏のよう・・・。




3000mの朝を楽しもうじゃないか。東側を見てごらん。西側を見てごらん。
雲海の向こうに浮かぶアルプスの山岳が逆光や順光で最高の非日常を演出をしてくれる。
そんな中、前穂やジャン方面で頻繁に飛び、ホバリングしている県警ヘリが不安に映る。


6:30am 奥穂高への稜線は未だに混雑を極み遅々として進まない。
二日酔い甚だしいチンドン三銃士は夢遊病者が徘徊するように稜線の列に並ぶ。
僕の後に瀕死状態の肺水腫の老犬いると思ったら大ちゃんの「ゼーハー!」だった(笑
軽やかに飛ぶように白出沢を駆け上がっていった男の姿はそこに微塵も無かった(汗


そんな、こんなの長〜い長〜い標高差200mの小一時間(滝汗
思い返せば酒の抜けきらないこのパートがこの日一番苦しかったかも・・・(笑
ヨレヨレの三人は昨夜の失念を恨みながらもピークを踏むのであった。
で、数多の記念撮影の場所と化した奥穂ピークはサクッと済ませて、進路は南へ♪


ブライト&シャドウなジャンダルムへの稜線が続いている。
険しいのか? 容易いのか? 百聞は一見に如かず 。
自身の未踏峰は如何なる時も魅力的に映る。そして一歩踏み出すこと。
そうやって何度も何度も自身の小さな冒険を繰り返すことが幸せだと感じる。


秋の空は高い。成層圏まで続くその紺碧は悲しくなるほどご機嫌だ。
空気中の塵も少なくパノラマの風景は限りなく遠景を享受してくれる。
風、気温、日照等全てのファクターがベストに近い状態を嬉々として味わう稜線。



誰かが落ちた話は昨日も今日も伝わってくるが真相は不明のまま。
だが昨日も今日も県警のヘリが稜線付近でホバリングしていることが事故を物語っている。


下山後、山仲間のともぞうさんからのメールで知ったのだが、
ともぞうさんも24日の12時30分頃に穂高岳山荘前にいたのだそうだ。
とても残念なすれ違い。会いたかったな〜♪

ともぞうさんはその日、ジャンダルム手前のロバ耳付近でヘリに待たされて、
結局ジャンダルムを諦めて無念の撤退をしてきたところだった模様。
来年ジャンダルム再アタックする時は連絡してね〜♪


さあ、ゴジラの背中が始まった。いきなりの核心部である馬ノ背を堪能する。
三人共クライミングのスキルはある。決して自慢できるレベルではないが・・・(笑
だが互いに安心して見ていられることが冒険においてパーティーを組む条件でもある。


手や足を滑らせれば一発サヨナラ系のパートが延々と続く素敵な稜線。
晴天の下、不思議と高度感はまったく感じない・・・(笑


馬の背の下降が終われば、お次ぎはロバの耳へ取り付く。
次々に現れるアトラクションが僕達の冒険を楽しくしてくれる♪
ホールドもスタンスも優しくしっかりしているので安心感は高い。



少しヤバそうなパートには必ず鎖があることも安心材料。
ここはアルパインスタイルのバリエーションルートではない。
不安の少ないクライミングパートは心地良ささえ感じるルート。



眼前にジャンダルムの山塊が現れてもさらに下らなければならない・・・(汗
そこで手を離したら、サヨナラで〜す的クライムダウンは勿論登るよりワクワクする。
前向きでも後ろ向きでも各自好きなスタイルで下降してゆく。



ジャンダルムの北壁はスルーして信州側を巻いて南壁からピークハントする。
トラバースしてゆけば分かりやすい目印が彼方此方にあるから安心。
先頭のけんちゃんがグイグイ行ってくれるのもパーティーの楽しさ。


穂高岳山荘から2時間弱でジャンダルムに到着。
ここまでのアトラクションで十二分に満足(笑
しかし、ここからの岩稜帯の下山ルートが長い・・・。


念願の記念撮影を済ませたら、もう十分♪
ヘリで帰りたい気分(笑


奥穂高から僅かに南西へ移動しただけのピークなのだが、
見える風景が大きく変わって見えるのが嬉しい。
これもジャンダルム効果なのだろうか? 遠景には富士山も!



北を振り返れば奥穂高ピークから「馬の背」〜「ロバの耳」としっかり確認できる。
側で見るより遠景の方が恐怖感をあおるなあ・・・(汗


赤い穂高岳山荘の屋根が稜線に印象的に映えている。
涸沢岳から北穂高〜槍ヶ岳までの超メジャーな稜線が甘美に映る。
また来よう。何度でも。


ジャンダルムを後にして十数分。
南側から見た憲兵の姿。やはり北側から見る方が圧倒的な威圧感を与えてくれる。


ここからもロックな稜線を延々と下っては登っての繰り返し。


コブの頭を越えて天狗のコルへと激下ってゆく。
その向こうに天狗ノ頭、間ノ岳、赤石岳への稜線が続いている。



天狗のコルでしばしレスト。この縦走路唯一のエスケープルートである天狗沢。
ガレガレの沢筋は心地よいものではないないが、地元の男性が日課の如く上高地から
天狗沢を登って来て西穂高へ向うと言う。好きなんだろうなぁ・・・。



避難小屋跡から真上を見上げると・・・。
あぁ、ここも落石オンパレードな場所なのが頷ける。


垂直に近い岩場を天狗ノ頭まで滝汗で頑張るチンドン三銃士達。
ガバオンリーのホールドは安心感も満開に登る。
先輩&後輩の山女子クライマー(山ガールと言うには失礼か・・・) も、
ガチャ類を多量にぶら下げてファイト〜一発な感じのシーン・・・(汗



急峻な尾根の下に新しくなった岳沢ヒュッテをチラリと確認。
もう雪崩や落石の被害がありませぬように・・・(合掌



ほぼ中間地点の天狗ノ頭を過ぎ間天のコルへ向う途中。
これもお待ちかねの逆層スラブの登場に喜ぶチンドン三銃士達。


約20〜30mの緩斜面スラブの下降。
鎖があるので懸垂下降的にクライムダウンすれば問題無しなパート。


大ちゃんは前向きで欽ちゃん走り的ステップで逆層スラブを降りて来た。
うむむ・・・。この男ただの酔っ払いではなさそうだよ(笑
秘めたるポテンシャルを垣間見せてくれた。
レスト中のアングロサクソングループに喝采を浴びていた大ちゃんであった♪


下って下って下りきったら、また登って登っての連続。
まあ、どちらにしろ平坦路は殆どなく岩と鎖のみの稜線漫歩(笑
楽しいから、良しとしよう♪


ただ間ノ岳から赤石岳の落石頻度は半端ではなかった。
拳大の石なら可愛いモノ。乗用車のタイヤサイズが重低音を響かせて落ちてくる。
本音としてシャレにならぬこのパートが最も緊張を強いられた。


誰が言ったか知らないが「ロープを必要としない縦走路では国内最難関のルート」
実際にはどうだろうか? そうかも知れないしそれ程では無いかもしれない。
難しいか?易しいか? 己の経験値に多いに左右される答え。

だが、そんな事より最低限の装備や考え方を持って入山しているのだろうか?
ソロだろうがパーティーだろうが入山後の自己責任とは何だろう?

10〜20kgのザックを担ぐ岩稜帯。重量に対する靴のグリップを考えた事がありますか?
大丈夫。私にはフリクションを効かせてグリップできるスキルがあります。
どうぞ、トレランシューズで歩いてください。

ピンポン球クラスの落石が20m落ちて来た時の衝撃を考えた事がありますか?
大丈夫。私にはそんな落石は絶対に当たるはずがありません。
どうぞ、ノーヘルで歩いてください。

日本の3000mでも高度障害(高山病)が起こりうる事を考えた事がありますか?
大丈夫。私には起こる筈が無いのでガチャ類もお助けロープも必要ありません。
どうぞ、もしもの時の安全装備無しで歩いてください。

山岳で遊ぶ事が流行になることは大いに結構。
でも、あともう少しだけ考えてほしい人が増えているような気がする。
長野県警や岐阜県警などのヘリ出動回数が増えているのは事実なのだから。


西穂高岳に着いた時点で縦走終了感満開気分。
ここで自動的に体内の山岳における生命維持装置はOFFにされたようだ(汗
ピークでハイタッチした瞬間に全ての箍が緩んだと言うよりずれ落ちた・・・。
ここからのハイキングな下りが、あまりに辛く長く感じたのはここだけの話(笑





2:30pm ようやく西穂山荘に到着。
チンドン三銃士が憲兵を越えた素敵な冒険に緞帳が降りた。
この稜線は楽しい縦走路。また戻ってきたい場所♪



下山後は勿論ダッシュで乾杯でしょ!♪
西穂山荘のラーメンは豚骨も醤油もかなり美味い。
ただし街のラーメン激戦区の店と比べてはいけない(笑



ロープウェイに乗ればあっと言う間に下界に引き戻される。
楽しかった3000mの二日間に感謝♪


中崎山荘の露天で汗を流し疲れを癒す一時。
二日間の冒険を、どや顔で思い出し話すチンドン三銃士(笑


さて、来夏は出来れば北鎌チャレンジイヤーにしたいなぁ〜♪

8 件のコメント:

  1. 標高差がリアルに感じられて、コワイ:-)
    お天気で何より。
    おっしゃるようにもしもの対策なしで
    アタックは無茶だと思います^_^;
    この領域は、まだまだ真似できない領域ですm(_ _)m
    お疲れ様でしたm(_ _)m

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  2. かっちゃん、おはようございます。
    山でこんなに自分が写っていることははじめてです。
    てか、めっちゃヘンな人ですやん、ワシ。

    もうすぐ週末、ウフフ♥

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  3. nikkor14d さん

    いえいえ、あなたの体力や経験値なら大丈夫でしょ♪
    ちょびっと、岩を練習してからジャンを走りに行ってください!

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  4. hansuyaさん

    大ちゃん、こんばんわ〜
    仲間のブログに自分が沢山登場するのはドキドキするでしょ(笑
    てか、めっちゃヘンは三人共でしょ!

    もうすぐ週末、テヘッ♥

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  5. チンドン三銃士いい感じ♪
    これからの珍道中も楽しみです

    けんちゃんの、おニューのメットも♥
    だいちゃんの、ピンクのパンツも♥
    かっちゃんの、風車の○七も♥

    もうすぐ週末、にゃは♥

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  6. どもども
    迷い人のけんです

    後姿をいっぱい撮っていただいてたみたいで

    とりあえずもうちょい痩せようと思います(笑)

    またどこか行きましょう!

    ではっ

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  7. KuMini

    基本、人生珍道中なので悪しからず(笑)

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  8. けんちゃん

    素敵なルートファインディングありがとう(笑)
    お互いダイエット頑張ろうね〜!
    また山で飲んで遊ぼうね♪

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