2016 Early Summer 「外道クライマー@宮城公博」
4年前の夏に那智の滝を登攀して逮捕されたクラマーって覚えてる?
ヤフーニュースでも流れてたし世界遺産でやっちゃったね〜と思った。
那智の滝を登った3名の内の一人が「セクシー登山部」のナメちゃんだ。
そのナメちゃんが「外道クライマー」の著書である宮城公博だ。
彼に敬意を表するなら彼のことをクライマーとは呼ばないでおこう。
彼は自身のことを「沢や」と称することを重んじている。
数多ある山遊びのなかで沢登りを「最も野蛮で原始的な登山」だという。
未踏地や地理的空白地帯にストイックに徹底的にこだわる。
誰もやったことのない登山、いわゆる初登が全てなのだ。
そんな変態的な思考の男は今の日本登山界に10名もいないだろう。
常人では発想すらしないであろう狂気的なストロングスタイルを貫く。
メインは46日間のタイのジャングル行を軸にしながらストーリーは続く。
落差日本一の称名の滝や立山ハンノキ滝冬期初登攀などは情景が目に浮かんだ。
宮城公博の文章は当然小説家のそれではない。ブログ的ゆるさが面白い。
研ぎ澄まされた「悪絶」という彼なりの単語が言い得て妙なのだ。
やるのか!逃げるのか!冒険中の心の葛藤を描く部分もとても引き込まれる。
強い部分と弱い部分が交差し撤退できる言い訳を探りながらもGo fo it !する情景。
生と死が隣り合わせの登攀、その刹那に状況を把握し判断する能力。
僕には出来ないし、やりたいとも思わないが共感できる箇所は多々ある。
だが逆に社会人としては人生の落伍者的な側面を幾度も垣間見ることができる。
宮城公博はストイックなくせにセクシー登山部のナメちゃんだよね〜と思わせる文言。
少しネタバレになるがナメちゃんらしい文章をほんの一つだけ抜粋・・・
”できれば私は、クライマーとして一番安定するヒモになりたかった。クライマーとして腕を上げていくことで、いずれ女子にモテると思っていた。もちろん現実は甘くない。魂の震えるような会心の登攀をいくらしたところで、女子の子宮には一ミリも響かないのである”
正直・・・ワロタ
難しい文章は一切ない。一気読みできる本だ。
クライミングをやっていない人でも山好きならワクワクドキドキしながら読めるだろう。
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