2016/01/07

Every moment is unique / Second day


20151229 tue - 31 thu 「山より宴・年末恒例の八ヶ岳・登頂日」

静かな黎明を迎えた赤岳鉱泉のテン場。午前3時頃からは半覚醒状態が続く。
隣の某山岳会のデカいテントには4〜5人がテン泊している。
早起き鶏達の会話や支度する雑音が気になって熟睡には程遠い。

まだ薄暗い夜明け前、bp-hiroのテントやロカちゃんのテントからも小声が聞こえる。
僕はナンガ1000DXのジップを下す。氷点下の冷気が一気にシュラフ内に忍び込む。
呼気が当たるシュラフの表面だけはガッツリ凍っている。厳冬期の洗礼だ。

眠い目をこすりながらヘッデンを点けて気合いでテントから這い出す。
バリルートの石尊稜へ向かうdai & kkとチンタロー& Pisoは出発するところだった。
朝の挨拶を交わし互いの無事を祈る。見上げた空に雲はない。優しい日になりそうだ。





テント内でバゲットを焼いて熱いポタージュをすする。
体が温まり今日一日の活力がみなぎる。


小屋泊のトモゾーが僕らのテント前にやってきた。
硫黄岳〜横岳〜赤岳のノーマルルート縦走パーティーのメンバーだ。


そうこうしていると、エノちゃん、ハッスン、好人ちゃん、ヨーヘーちゃんも登場。
午前7時スタート予定がやっぱりの7時半出発になった。まあ、いつも通りだね(笑


daiちゃんパーティーと同様の石尊稜バリルートへ向かう
bp-hiroパーティーも午前7時前には旅立って行った。


僕たち7名は、まずは硫黄岳へ向かうべくハイクアップを続ける。
天気は最高だが今期の八ヶ岳はホント雪が少ない。


朝日の下に硫黄岳の稜線が目に飛び込んでくる。
何度見ても飽きない素敵な風景だ。


九十九折の登山道が終わり、峰の松目の分岐である赤岩の頭に到着する。


樹林帯は風もなく暑いくらいの感覚だったが、
稜線に乗って少しづつ風を感じるようになった。


ここまでくれば硫黄岳の頂上台地まであと少し♫
北側にはオーレン小屋も小さく見える。


ここまで来ると風が強い!
硫黄岳はいつ来ても容赦なく強風が吹きつける。


ピークハントすれば長居は無用。
風を避けてレストできる硫黄岳山荘へパーティーは進む。


硫黄岳の爆裂火口も雪がないので雪庇の発達もほとんど無し。


七つの大きなケルンに導かれながら大ダルミに向かう。


大ダルミから振りかった硫黄岳の稜線と大きなケルン。
空の蒼さが目にしみる・・・


進むべき方向である南に目を向ければ横岳〜赤岳と阿弥陀岳の勇姿が鎮座する。


以前は冬期も営業していた硫黄岳山荘も最近は冬期閉鎖している。
愛想のいい小屋番さんだったのを思い出す。


僕たち7名のパーティーは強風を逃れ硫黄岳山荘前でしばし行動食タイム。
氷点下での縦走中のハンガーノックは怖いからね〜


硫黄岳山荘から台座ノ頭までは急登が続き暴風が叩きつける。
風は容赦なく小柄なkumiちょを吹き飛ばそうとする。


何度もバランスを崩しそうになるkumiちょは次第に強風に体温を奪われてゆく。
登るペースは牛歩のごとく落ちていった。
目眩がすると言いながらバラクラバを下ろし急斜面で嘔吐したkumiちょ。


僕はここでパーティーを分けようと考えた。僕とkumiちょは引き返し下山する。
他の仲間は先に進んでもらうことが最善ではないかと考えた。


kumiちょが低体温症を引き起こし横岳の岩場や鎖場で行動不能になるのが怖かった。
だが根性だけは一丁前のkumiちょは僕の考えを拒否した。
思考回路に異常はないと訴える。


好人ちゃん達も「大丈夫!皆でゆっくりでいいから頑張ろう」と言ってくれた。
kumiちょも「大丈夫!歩けるから!」と強情を張る。


横岳まで来れば強風は去り穏やかな表情を見せてくれる稜線。
結果として問題なく赤岳展望荘までたどり着けたkumiちょ。


だが未だにGo for it が正しかったのか疑問が残る。
ベストは無いにしてもベターの選択はどんな場面でも難しいと考える。


撤退をせず前進した言い訳をするならば、
kumiちょの意識が明瞭で、風が弱まり快晴であったということだろうか・・・


たかがノーマルルートでも冬山では簡単に仲間に迷惑をかけかねない。
気象条件や体調には細心の注意を払わねばいけない。


紺碧の下、横岳の稜線から拝む富士山は久しぶりのこと。
すべてが順調に進み下山できますように・・・一心に祈る。


人は守るべきものを守れなかった時、
どのような深い後悔を背負い懺悔するのだろうか・・・


無用な思考と分かりながらも必ず耳元で囁くもう一人の僕がいる。


雲ひとつない紺碧に輝く太陽は悲しいくらい美しい。
八ヶ岳の君主赤岳の威風堂々とした山容に見惚れてしまう。


僕たちのパーティーはkumiちょペースで遅いながらも前進する。
奥ノ院から三又峰、石尊峰、日ノ岳、二十三夜峰へと歩く。


稜線をトラバースし岩場や鎖場を丁寧に通過する。


僕が先頭を歩き真後ろのkumiちょに危険箇所の指示をする。


kumiちょの後ろではトモゾーと好人ちゃんがフォローしてくれている。
ありがたいことだ。


赤岳展望荘が眼前に近づいた。


地蔵の頭まで来た。胸をなでおろした。
kumiちょの危険は去ったと・・・


赤岳展望荘でランチにした。
各自、うどんやラーメン等で空腹を満たし体を温める。


3000m近い稜線に有人小屋があり赤々と燃えるストーブがある幸せ。
体調不良のkumiちょだけ赤岳展望荘でお留守番させることにした。
他のメンバーは赤岳ピークハントのピストンに出かける。


昼頃に赤岳展望荘で会えたらいいねって言ってたdaiちゃんパーティーにも
bp-hiroパーティーにも出会えなかった。
この時は僕らよりも先に通過したのだと思っていた・・・


久しぶりの赤岳ピーク。しかも厳冬期しか経験がない。
八ヶ岳には無雪期に来る気はしないし、バリエーションもやる気はない。


進歩のないまま時間だけが過ぎてゆく・・・
まあ、いいさ。紺碧の下で仲間と笑い合えたのだから。


雪のない2899mも少し残念だがニコパチ撮って下山にかかる。


午後の凍てつく北斜面はすでに陽が当たらない。


赤岳展望荘でkumiちょをピックアップして地蔵尾根を下山する。


赤岳展望荘でプシュッ!と乾杯したいところだが、
行動中の登山者に麦酒は売ってもらえない。
うむむ・・・懸命な判断かと・・・(笑


お地蔵様、なんとか無事の縦走をありがとうございました。


また来年、あなたに会いに戻ってきます♫


地蔵尾根をサクサク下って行者小屋に到着した時は午後3時を回っていた。
赤岳鉱泉のテン場に帰還しドンチャンの準備をせねばと
中山乗越をガシガシ下る山より宴なメンバーであった(笑


今宵の素敵な宴と下山日の物語はまた後日・・・
Coming soon !

6 件のコメント:

  1. 雪は少なかったけど風はいつもと変わらずで気温は相変わらず冷たく痛い..........

    クミちょよく頑張ったやん(^_^)
    男性はなんて事無い状況でも女性はあっという間に低体温症に陥るからね囧rz

    防寒対策のUPを考えないとね!

    でも、やっぱり仲間が居てた上での縦走で良かったよね(^_−)−☆
    十分楽しめたのが写真からわかるよぉ〜

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  2. 楽しかったね~♪ 2回目にして最高の山行でした!
    クミちゃんはほんま頑張ったよね。
    今回の遠征は最低でも赤岳と思ってただけに
    縦走で来てこの天気やしね。サイコーやった♪
    かっちゃん隊長! ありがとうございました(^_^)/

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  3. かっちゃん、こんばんわ!

    終始気遣いのあるリードとフォローで鈍足な僕にも最高の景色と経験をさせてくれてありがとうございました!
    クミさんのジビエ料理!最高に美味しかった!
    また食べさせてください!

    今年は西に遠征計画たてるので、よろしゅうお願いしますね!
    皆が亨さんのお店に行く時にタイミング合ったら僕もジョインしたいです!

    『Go for it が正しかったのか疑問が残る。
    ベストは無いにしてもベターの選択はどんな場面でも難しいと考える。』
    深いなぁ。

    これからも宜しくお願い致しますー!

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  4. totoちゃん

    ほんと硫黄岳の風は強くて寒かったね〜

    kumiちょはあわやプチ遭難しかけやったよ(笑
    女性は男性に比べてかなり寒さに弱いから防寒対策は
    あれこれ考えなあかんわ〜

    赤岳〜硫黄岳間の縦走は久しぶりやったから
    マジ楽しかったよ!

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  5. 好人ちゃん

    去年の風ボーボーでの撤退に比べたらほんま春山のようで
    ほんまサイコーの縦走やったね!
    次回の八ヶ岳入山は阿弥陀岳を狙いましょう!
    まあ、ぼちぼち慌てず楽しんで行きましょう♫

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  6. よーへーちゃん

    よーへーちゃんとは初対面やと思えないくらい楽しめたよ〜(笑
    kumiちょのジビエ料理へのお褒めの言葉アザース♫
    よーへーちゃん持参のピリ辛豚足も美味しかったよ!

    是非、関西への遠征も企画してくださいな!
    皆でパーティー組んで大峰に登りましょう♫
    亨さんとこでのドンチャンも企画せなあかんね(笑

    山行ってパーティー組んだ段階で色んなリスクがあるわけで
    あれこれ対処できる引出しを増やしていくことが必須です。

    こちらこそ、これからも宜しくお願いします!
    また、おもろい入山しましょう(笑

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