2015/02/01

Memorial


2014 February 灰色猫の断想

僕は昔、猫を飼っていた。11年間ほどロシアンブルーという灰色の猫を飼っていた。
ちなみに今も懲りずに猫を飼っている。アビシニアンという茶色の猫を二匹飼っている。
ロシアンブルーより活発な生態であるアビシニアンが二匹という生活は忙しい。
天井までジャンプするのではと不安に思った時期もあったほどだ。
躍動感溢れるアビシニアンは力強いがロシアンブルーのしなやかな品格は感じない。
まあ猫は猫だ。良いとか悪いとかは考えたこともない。誰もが知る猫の生態が好きなのだ。

若き茶色い猫二匹はキッチンから冷蔵庫の上までジャンプする。
そして冷蔵庫の上からジャンプして飛び降りる。
廊下の向こう側。磨りガラスの扉からも茶色い影が上下に飛ぶ姿をよく目にする。
だが時折、磨りガラスの向こう側で躍動する猫の色が灰色に見えたりもする。
茶色でも灰色でも驚きはないのだがより多く灰色を見たい気がする。

その昔、灰色の猫を飼っていた時、僕と灰色の猫だけの時間と会話があった。
ソファやキッチンやデスクやベッドで灰色の猫と会話を楽しんだ。
灰色の猫は優しい小さな声でささやき僕をいつも癒してくれた。
灰色の猫は喜怒哀楽の激しい僕の性格を把握しているかのように反応してくれた。
猫にしておくのはもったいないような忠犬のような猫だった。

灰色の猫は晩年、病魔に冒された。みるみるうちに衰弱していった。
キッチンやテーブルにジャンプする等、果敢なき夢となった。
灰色の猫の体力は日に日に落ちていった。僕と妻が寝るベッドにもジャンプ出来なくなっていた。
灰色の猫がベッドへジャンプしようとして、まったくもって足が動いていなかった姿は辛かった。

その日から僕と灰色の猫の新しいコミュンケーションが始まった。
ベッドの右側に寝る僕は深夜であったり明方であったりルーティーンでベッドから右腕を出すようになった。
ベッドまでジャンプ出来なくなった灰色の猫は僕の右の拳に頬をぐりぐり擦り付け挨拶してくれた。
でも、そんな素敵なコミュニケーションは数週間しか続かなかった。

そして、年が明け今では茶色い猫二匹が明方に僕達のベッドにもぐり込み寝ている。
でも、僕は今でも時折、明方にベッドから右腕を出している。
右手の人差し指と中指の第二関節をぐっと曲げて突き出している。
その第二関節は灰色猫の頬に触れたいのだ。
灰色猫はたぶん僕の右手の第二関節に触れてくれていると思うんだ。
僕が分からないだけで・・・・・
今でもいつでも灰色猫に会いたい。ギュッと抱きしめたい。
叶わぬ事は百も承知。でも茶色猫との暮らしの中でも灰色猫への想いは消えない。
今日、動物霊園に行き雪のちらつく空の下で灰色猫にたくさん語りかけて来た。
ありがとう。ありがとう。ありがとう。

12 件のコメント:

  1. しあわせな灰色のネコ。
    こんなに愛され楽しい時間を共に過ごせた日々・・・
    灰色のネコもきっとありがとう!といってると思う。

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  2. 登山好人ちゃん

    温かで優しい言葉をありがとう!
    もう少しなんとかしてあげることができたのではないかと今でも思います。
    でも何をどうしたって後悔はついてくるようです。
    来生でまた灰色猫に会えると信じてますよ。

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  3. 業務連絡
    ハニカム堂様から納品いただける旨、
    誠にありがとうございます<(_ _)>
    良心的な請求書、同送いただけますと幸いです。

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  4. kk様

    お買い上げ誠にありがたき幸せ。
    ちなみにここだけの話なのですがお代官様。
    展示会プライスの30%OFFという、
    とてもとても良心的な納品書を同封したようでございます。
    他言無用ですぞよ(笑

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  5. 私も 猫大好きなのです。ただ、人間より寿命が… 愛情を注げば注ぐほど別れがつらく。
    合掌。

    話はころっと変わりますが
    今回の仏像は、試作品になりそうです。気にいらない処があまりにも多く、最終的には、囲炉裏の薪になる運命です。本質的な【木】そのもの材質等 選定が必要です。まあ、一度見れば、納得いただけると思います。

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  6. A.Oさん

    ありがとうございます。
    愛情を注げば注ぐほど別れは辛いのは百も承知の筈なのですが・・・
    こればかりはどうしようもないことなのですね・・・
    だが愛玩を残して自分が先に逝くことは情念が残り過ぎます。
    だから今、一緒に暮らしている茶色猫も看取りたいと思います。
    自分が苦しむのは因果応報なのですから。
    愛を注いで注いで自分が悲しむ方が楽なのかもしれません・・・

    話はころっと変わって
    A.Oさんの木彫りの仏像、拝見することをとても楽しみにしています。
    どこがどお気に入らなくて囲炉裏の薪になるのか深い話を聞きたいです。
    素材の選定も含めて次回作品のコンセプトも楽しみです。
    行仙宿での一献、深い一夜になりそうですね(笑

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  7. 親が子を、子が兄妹を、家族で殺し合うような
    そんな人間社会があるかと思えば
    亡くなった後も、これほどまで愛される猫もいる
    そんなにも愛された猫も、そこまで愛する者がある男も
    お二人(二匹)ともが美しく羨ましいです

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  8. スロトレさん

    ありがとうございます。
    誰かに憎しみを抱くと無性に疲れるのです。
    もちろん戦争やテロに怒りは覚えます。
    ただ、個人に憎しみを抱く事は得策ではないと考えます。

    灰色猫は無償の愛を僕に与えてくれました。
    そして僕に全てを委ね往生したのです。
    狂おしいほどの後悔を経験しました。
    ただ、どのような選択をしても後悔はするのでしょう。
    だから灰色猫への愛は一生消える事無い感情なのです。

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  9. 問題です。
    猫と犬(特にチワワ、ラブラドール系) どちらが好きか嫌いか。
    なぜ、そうなるか最大のポイントは?

    ヒント 【オオカミ、赤ちゃん】

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  10. A.Oさん

    僕はビーグルや柴犬、シーズーも飼育していた経験があります。
    犬も猫もどちらも好きですし嫌いな方も無いです。

    謎掛けの様なものなのでしょうが、まったくもって分かりません(笑
    実はあれこれサクッとネット検索もしましたが意味不明でつw

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  11. ごめんなさい。わけのわからん コメントUPしてしまい。
    一夜あけて、猛烈な反省してます。

    黒目の比率です。黒目の比率が多ければ多いほど、かわいい、愛おしい、母性本能をくすぐると思わせるらしいです。
    オオカミ、ハスキー犬は、白目の比率が多いのでかわいくなく、猫も昼より夜の方が 又、赤ちゃんも黒目が多いのでかわいい と感じるそうです。ですから、最近コンタクトも黒目の輪郭をハッキリさせる というものも
    理にかなっているらしいです。
    ラブラドール、チワワも白目部分少ないんです。
     最初に見た犬種、猫を見た時間帯で 好き嫌いがわかれるらしいです。
    白目部分を覆い隠すコンタクト 共同開発して一攫千金 どうですか?

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  12. A.Oさん

    正直、少し疲れました・・・

    黒目の比率、確かにおっしゃる通りですね。

    A.Oさんの雑学やウンチクには脱帽いたします。

    共同開発の件は軍資金をお持ちの方を探してくださいませ・・・

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