2011/12/09
Losers 3776
20111204 sun 「冬富士へ登るということ」
山を始めてからも唯一「富士山」にはまったく興味が無かった。
もちろん富士山に入山したことなど無いし、生涯不要だと考えていた。
それは夏富士の事であって、BCをやらない僕は冬富士など頭になかった。
冬山は八ヶ岳や北アルプス、大峰や伯耆大山で十二分だと考えていた。
とある日、冬期訓練をかねて冬富士をやってみるというdaiちゃんの計画。
すぐに心がときめいた。新田次郎の「強力伝」等が脳裏をよぎった。
40度前後の傾斜にアイゼンが刺さらない蒼氷の世界。
40m/s以上の突風が吹き荒れるジェットストリームの世界。
過去に数多の事故や遭難事件を出している冬富士の特異な世界。
冬期はスカイラインも封鎖されているので富士宮・須走・吉田の
新五合目登山口は使えない。標高約1,300mの御殿場口が唯一の冬期登山口。
夏富士では御殿場口の入山者数は全体の3%でしかない男前なロングルート。
富士宮・須走・吉田の各登山口よりも標高が約1,000mも低い。
剣ケ峰までの標高差は約2,500m。暴風の中、冬期にこれを日帰りアタックする。
3,776mの孤高の独立峰は甘く危険な冒険の香りがぷんぷんするじゃないか。
山と煩悩dai & KKと今年の正月の赤岳鉱泉以来となる11ヶ月ぶりに再会するChinちゃん。
御殿場のスーパーで食材や命の水(酒や酒)を仕入れていざ太郎坊へ。
一番乗りの太郎坊洞門トンネル横の駐車スペースで宴を始める。
低気圧の通過速度が心配だったが予想より早く抜けてくれた。
御殿場口では凍えるような寒気はなく屋外宴会は延々と続いた。
だが今回、僕たちは「ほどほど」という事を少しは学習できたのかもしれない(笑
やがて一台の車が駐車スペースに入ってきた。驚いた事に和歌山ナンバーである。
熊野方面からここまで一人で足繁く通っているじまちゃんとご挨拶。
彼は厳冬期の富士にもアタックしており生の情報を色々と教えていただいた。
昨夜は「ほどほど」に宴を終わらせたつもりなのだが、じまちゃんとChinちゃんに
起こされたのが5時半であった。5時には出ようと計画していたのも水の泡。
じまちゃんは冬富士猛者のやまちゃん達と入山していった。
僕らも急いで用意を済ませて出発したのが6時を大きくまわっていた。
やっちまったぜ・・・(汗
樹林帯を抜けると蒼白の冬富士が威風堂々と迎えてくれる。
日の出前の凛とした空気を肺一杯に吸込む。心地良い朝だ。
どこまで登れるのか?高揚感はあるが挑む気持ちは不思議と少なかった。
大石小屋の辺りで蒼白の冬富士を紅く染めるモルゲンロート。
生命感の無かった大地が鼓動を始めるように躍動感に包まれる。
12月の冬富士としては文句の付けようの無いコンディションなのだろう。
朝からシャウトなKKちゃんとChinちゃん(空元気って素敵♪
今回は流石に泥酔的二日酔いなメンバーはいなかった。
朝から慌てずスローペースでハイクアップすると二子山が近づいてきた。
ラクダのこぶの様な形がとてもキュートなハイキングコース。
遥かなる冬富士。歩けど歩けど風景は変わらない(汗
初めて富士山を登るこの日。ザレた登山道に苦慮する。
踏み出した一歩が沈み僅かに流れる天然ムーンウォークな疲れる登り。
踏み固められた土の登山道の倍程の疲労感を味わうことになった。
朝から少し体調不良なKKちゃん・・・。
daiちゃんを護衛に付けて「ナニがナニやからナニでナニしてくる〜」と登山道を外れた。
岩も木も無い場所・・・男前やな〜(笑
中継小屋(気象庁避難小屋)で最初のレスト。
身体もゴツいが馬力のあるChinちゃんが先頭で登ってくれた。
僕は喘ぐ事無くChinちゃんペースで歩けたこの日は「ほどほど」を学習したからだろうか(笑
海が見えた。関東の海が見えた。素直に嬉しかった。
駿河湾が見えた。伊豆半島の向こうに伊豆大島が見えた。
相模湾には江ノ島が見えた。三浦半島の遠景に房総半島まで見えた。
六甲から見る瀬戸内とは規模が違いすぎる。今更ながらだが富士山って凄いね(笑
Chinちゃんとしばらくレストしていると瀕死状態のKKちゃんが中継小屋に到着した。
KKちゃんを介護するdaiちゃんも今回ばかりはペースを上げられず苦笑い。
高気圧が富士を包み気温が低すぎない事が唯一の安心材料なのだが・・・。
風を避けながらレイヤリングを変更しながらも、ここからはハードシェルを着用する。
中継小屋(気象庁避難小屋)を越えてからジワリと斜度が増してくる。
感じなかったはずの風が嘶き始めた。宝永山に近づいてきた。
そろそろ突風や砂嵐の通り道に遭遇する頃。
秒速10m程度の風が吹く中、時折ドンッ!と、分厚く重い突風が吹いてくれる。
今回初登場の新兵器で観測してみると、いい感じの数字を叩き出してくれる。
この程度の標高でこの数字は意味不明に思えてしまう・・・。
厳冬期の3776mではどんな数字を示してくれるのだろうか(汗
五合目の小屋が近づいてきて頃。強風に飛ばされたアルミ缶的な物体が上部より飛んで来た。
カーン!カーン!と岩に当たる軽い音を発しながら物体はこちらへ向って落ちて来た。
よく見るとヘルメットが二つ!Chinちゃんが無事に拾ってあげた。
上の小屋でレスト中の二人のヘルメットが風に飛ばされ落ちてきたものだった(笑
四人は順番に五合目閉鎖小屋に辿り着く。
ここで前後して登って来た登山者数名とお話させていただいた。
僕達意外は皆冬富士経験者ばかり。素敵な経験談ありがとうございます。
ここからもう少し頑張れば七合目〜八合目と冬富士の蒼白の世界があるのだろう。
だがKKちゃんの脚はすでに限界を超えており、ツリンパシマクリングシンドロームになっていた。
G4サミットは数分の協議の結果、四人はパーティーとして行動する事を選んだ。
日頃の不摂生が祟ったのだろう・・・。
いいじゃないか。また来ればいいのだから。冬富士は逃げない。
何度でもチャレンジすればいい事なのだからって決まればスタコラサッサと下山です♪
この辺りでも根雪が安定すればシュカブラが美しいのだろう。
KKちゃんの冬富士における耐風姿勢講座的写真下記三枚(笑
はいっ! ありがとうございます。
今後はKumini料理長共々、毎日のスクワット頑張りましょうね♪
ムーンウォークな下りは楽に歩ける。登りとは逆に膝への負担も軽減される。
と、相変わらず空元気な四人であった。
名残惜しい時間。しばし振り向き美人な冬富士を堪能しようとする四人。
何を反省し何を学習したのだろうか。次回の冬富士に活かせるよう精進せねば。
富士の樹海ではないが樹林帯でプチ遭難(汗
踏み跡も少なく。皆でルートファインディング。
今日の核心部はここだったかも(笑
無事に駐車スペースに下山。下では暑いくらいの陽気。
まさに小春日和な一日であった。
下山は一番だぜ!
さあ、Chinちゃんのガイドで富士宮焼きそば求めてレッツゴー♪
この日は10台もとめれない駐車スペースは満車でトンネルの向こう側の
僅かなスペースにも車が数台。冬富士としてはかなり多くの人が入山した事になる。
それでも僕たちを入れても20数名ほど。
Chinちゃんが昔から通っている「すぎ本」さん。
キャラの強い女将さんの説明に圧倒されながら「じゃぁ、それで・・・」と注文(笑
富士宮焼きそばもお好み焼きもゲキ美味でした。うん、また富士に来たらここだね。
Chinちゃんと近々の再会を約束してお別れしたら三人は一路、名古屋へ戻ります。
ローカルのdai & KKの案内で名古屋の夜を満喫♪
手羽先で有名な「世界の山ちゃん」で、お疲れさんの乾杯を浴びるほど堪能(笑
こうなると帰巣本能は著しく萎えてしまう。
今宵は瀟洒なdai & KK宅にて撃沈な夜。
月曜の朝8時の新幹線はビジネスマンばかりで車内は超満員。
デカザック担いだオヤジはなんともトホホな感じで目立つわけで・・・。
放蕩的人生の落伍者を見るような視線が時折突き刺さる週明けの朝(笑
あぁ、やっぱりユルユルな僕の山遊びは続きます♪
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おつかれさまでした!
返信削除今日は先週同様な晴天です。
我が家から見える丹沢・奥多摩にも雪がかぶっております。富士山も5合目より下まで降っているでしょう。
この次はきっちり頂上まで行きましょう!
またのお越しをお待ちしております。
その前に年末年始宜しくお願いします!
先日はお疲れさまでした!
返信削除富士宮焼きそば美味しかったよん!
年開けたらリベンジの日程を考えましょね。
その前に年越し宴会山行楽しみです♪
ほどほどに泥酔ということで・・・(笑
>放蕩的人生の落伍者を見るような視線が時折突き刺さる週明けの朝(笑
返信削除ふふっ
このオチ最高っす。でもアレでしょ?胸の中では
そんな視線もちょいと快感だったりするのでしょ?
ったく、いくつになっても冒険者♪
今回も臨場感たっぷしでした
あ、もちっと早立ちしましょかw( ̄ー ̄)
お疲れさまでした!
返信削除新幹線のなかで突き刺さったビジネスマンの視線が
リアルに想像できて超ウケる〜(笑)
次回名古屋泊の際は、アイゼンスタイルでride onキボンヌ☆
スロトレさん
返信削除へへっ
流石、お見通しですねぇ。
お察しの通り冷たい視線が心地よかったり・・・(笑
えぇ、いくつになっても戯け者♪
ありがとうございます。
daiちゃん
返信削除むーちょ楽しかったですよん♪
えぇ、想像通りやで〜(笑
アイゼン装着 in the 名古屋駅で拘束されまつw
こんばんわ~
返信削除じまで~す。
楽しい記事読ませてもらえました。
正直、美味しそうな記事でしたね~笑
KKさん、夜に頑張りすぎたんですかね。
今回は、半分で下山ということでしたが、次のリベンジはほどほどにしてやってください^^;
今回はほぼ無風の富士山でしたが、冬に風速計試されたら面白いでしょうね。
ってか、風が出だしたら、とても、計っていられないと思います。どうです~ますます行きたいでしょ~
それでは、またお会いできるのを楽しみにしています。
PS お手紙もありがとうございました☆
じまちゃん
返信削除コメントありがとうござい〜す♪
冬富士マニアの皆さんのブログ記事は大変参考になります。
年開けてから天気図とニラメッコでリベンジの機会を伺うつもりですよ。
次回はさらに夜はほどほどで早起きします(笑
冬富士の暴力的な突風に吹かれてみたいと思うドMですから〜。
こちらこそ、またお会いできる事を楽しみにしています。
駐車場だけではなく頂上でも話ができるように精進します(笑
赤岳鉱泉のなべちゃんです!
返信削除冬富士素敵っす。富士登山競争,100マイルレースとともに,やってみたい富士登山リストに仲間入りです!!
なべちゃん
返信削除赤岳鉱泉ではおもろい時間をありがとう♪
冬富士登山チャレンジしようぜ〜!
また連絡するね。