2014/03/20

Take in Take out


2014 march 「ハードボイルドはエンドルフィン分泌のトリガーなんだ」

「南極風」から一年三ヶ月の月日が経った今年の一月。
笹本稜平の山岳系単行本が文藝春秋から満を持して出版された。
物語は主人公のクライマーがデナリ南壁カシンリッジ冬期単独登攀に挑み
消息を絶つところから始まった・・・

最近の笹本山岳小説の傾向として人の生きる意味や生死について、
哲学的とも思える強いセンテンスやその考えを深めるワードの多さがある。
己の魂が希求する答えは存在しないのかとさえ感じる節すらある。

以前の文体や行間はもっと熱を帯びたようなニュアンスが多く感じられた。
サガルマータが舞台の「天空への回廊」や、K2が舞台の「還るべき場所」などがそうだ。
最近の「春を背負って」や「南極風」あたりから角が取れた様な柔らかさと
さらに凛とした”命とはなんぞや”的な行間を感じずにはいられない。

それにラストシーンへと続く流れはまったくもって今までにない構成になっている。
生か死かが答えではないというか、この様な落とし所もあるのかと愕然とした。
四半世紀近く前にRobert De Niroが出演した映画を引用していることには戸惑いを覚えが・・・
だが笹本山岳小説の新機軸のようにさえ感じる重量感のある深い五百頁だった。

 
「その峰の彼方」にも笹本ワールド的な"魂の言葉"が幾度もでてきた。
ネタバレにならない範囲で笹本ワールドの深イイ名台詞を幾つかピックアップ♪
宗教的に思えたり哲学的であったり感じ方は千差万別だろう。
読む人のバックボーンによって答えは微妙に変化するのだろうなぁ・・・

「この世に本質的なことなんかなにもない。それが俺にとっては本質的なことなんだ」

「他人を許せなきゃ自分も許せない。自分を許せない人間には魂の安らぐ場所は無いんだ」

「人から愛されようとは思わないことだ。人から愛されたがっている人間は、いつも誰かと取引していて、与えた愛を上回る対価を要求してくるんだ」

「登山というゲームのルールには死というペナルティが必ず存在するんだ」

「未来を決める権利は人間にはないかもしれないが、しかし信じることはできる。信じる力は枯れることのない勇気の泉なんだよ」

「人として生きることそれ自体が孕む不条理ともいえる。幸福が努力や善意に対する報いだというのは誤りで、不幸が悪意や怠惰や不道徳の結果だと考えるのも誤りだ。この世界には不幸な善人と幸福な悪人が掃いて捨てるほど存在するから」

「なすべきことをなしたという彼等の意志を信じようじゃないか。そこに希望を託そうじゃないか。信じて託す。それもまた勇気なんだ」

「自分以外の誰かのために自分がいると感じることが、人間が生きる上でいちばん必要なものだろ」

「信じることの本当の意味が解るか? 打算も猜疑もなく、掛け値なしで心を決めることだよ。期待が裏切られたらどうしようなんて考えない。それはとても勇気のいることだがね」

「どんなに自分が無力に感じるときでも、信じることはだけはできる。希望を持つことだけはできる。そしてすべてはそこから始まるんだ。下には奈落しかない空中に一歩踏み出す。それが信じるということだ。踏み出した一歩の下に地面が生まれる。それが希望というものだ」

「君がこの世に生まれたことに意味を与えられるのは君だけなんだ。神はそんなふうに我々を創った。その意味というのは、言葉によって定義できるものでもなければ、自分のなかに後生大事にしまい込めるものでもない。求めなければいつでもここにある。求めたとたんに見失うんだ」



ああ・・・お山に往きたし暇はなし・・・
でもなく最近は比較的休めてるんだけどね

我家の王子の病院通いが続いてまして
休日にしかホームドクターに連れて行けないもんでね
朝晩一日二回の抗生物質の投薬もあるしね・・・

山より宴ならぬ 山より猫な今日この頃
通院のたび諭吉メニメニ大盤振る舞いな検査&治療費に((((;゜Д゜)))ガクブル
てか テン泊できる日は来るのだろうか・・・

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