2018/03/15

Variations route / Later half


20180310 sat - 11 sun 阿弥陀岳北稜・下山日

僕がアルピニズムの真似事に憧れる理由は少し変わっている。
本気のアルパインクライマーを目指す者達とのベクトルや温度差は大きい。
多分、国内外の近代登山の小説の影響が大きいのだと想像する。

古典的アルピニズム論の思想や哲学的なものに強く憧れを抱くのだ。
だが、その抽象的すぎる言葉の本質は今や過去の遺物なのかもしれない。
そして高さと困難性という冒険を希求しながらも自己責任の追及も求められる。

登攀というゲームのルールには死というペナルティが必ず存在する。
危険と甘美なる遊びは表裏一体であり、冒険という高尚な余韻を求める。
登攀は体力や技術だけではなく、思想や哲学と切り離せない文化だと考える。

 

風の嘶きも無く、とても静穏な夜だった。
遠くの沢の音がまるで子守唄のような音色を奏でてくれた。

午前5時半に起床し熱い麺類をすすり身体を覚醒させてゆく。


トモゾーとkumiちょの赤ジャケチームは硫黄岳に向かう。
僕と好人ちゃんは行者小屋へと向かう午前7時すぎ。


下記画像、〇〇連合参上! 夜露死苦! 的なポーズだねぇ・・・(笑


マムートのアバランチビーコンもスイッチON!


午前7時半頃に行者小屋に到着し再度装備を整える。


大同心・横岳・赤岳・中岳・阿弥陀岳とパノラマの稜線に囲まれる場所。


稜線では雪煙が舞っている。上空は風が強そうだ・・・
互いの装備をチェックして、カラビナやスリングの数を確認する。


文三郎との分岐からはしっかりとしたトレースが付いていた。
トレースは有りがたいが、先行者が多いのも勘弁願いたい・・・


左手に中岳沢を見ながら枝尾根を登って行く。
振り返れば横岳のギザギザが印象的だね♬


少しづつ斜度が増してくる尾根筋。
だが、幸いなことに全く風を感じない。
嬉しい限りだよ♬


紺碧の空が優しい笑顔で迎えてくれているようだ。
まさに、The Day な感じが幸せだ♬


午前8時半に阿弥陀北陵の尾根に乗る。
ジャンクションピークの手前に複数のパーティーが目視出来た。


空の色がね・・・紺碧と言うよりは黒に近い雰囲気で宇宙を感じる。
残念だが近畿や四国の山ではこの色にはお会いできない・・・


朝陽に照らされる赤岳と中岳が眩しく輝く。


二十三夜峰から横岳〜硫黄岳へと続く南八ヶ岳の稜線は美しい。
その中には数多の魅力的なバリエーションルートが存在する。


ジャンクションピークを越えてから一旦少し傾斜が緩む。
そして直ぐに壁のような急登が立ち塞がる・・・


ピッケルが無いとかなりの不安を感じるだろう。
と言うよりも、ダブルアックスで登りたかったのが本音だよ。
で、ひたすらしんどい急登を喘ぎながら登る・・・


フー!・・・・・
なんとか午前9時に北稜第一岩稜の取り付き手前に到着した・・
予想通り複数のパーティーが順番待ちをしている。


ここから長い長い待ち時間が始まるのであった・・・
風は幸いにも強く無いし、ドピーカンである。
しかし3000m近い氷点下の尾根でこの時期に長時間はキツい・・・
僕も好人ちゃんもダウンジャケットを着用し寒さをしのいだ。


初めての山、初めてのルートはいつだって不安がある。
それがバリルートの登攀ならなおさらである。
正直、怖いと思うのが本音だ。緊張感だってハンパ無いよ。
ベテランクライマーなら鼻で笑うようなルートだって僕は怖い。

好人ちゃんが、1ピッチ目のリードをどちらがするかジャンケンしようと言う。
勝負は僕がパーで好人ちゃんがグーだった。
好人ちゃんはすかさず「クソ〜!」の一言(笑
どうやら好人ちゃんも緊張感はあったようだ。

その後、好人ちゃんは取り付きまで行ってルーファイして戻ってきた。
第一声が「簡単!あれは簡単やわ!」だった。
好人ちゃんのスキルなら本当にそう思ったのか?
それとも自身の気持ちを落ち着かせるためにそういったのか?
どちらとも判断つかない真顔での発言であった。
心理描写って面白いよなぁ・・・と思った瞬間であった(笑


一時間以上待たされて、ようやくリードの好人ちゃんのテイクオフである。
順調にロープが出て行き40m近く出たところで止まった。
その後は沈黙が続いた・・・

どうやら僕らの数組前にかなりのポンコツパーティーがいて大渋滞だったようだ。
上からは叱咤激励するベテランクライマーの雄叫びが聞こえて来る!(笑

フォローの僕が攀じり始めたのが10時半を大きく回っていた。
一時間半以上待たされて緊張感もクソも無かったよ!(笑


1ピッチ目の終了点でセルフを取ってビレイしてくれている好人ちゃん。
前はもう空いているので僕はそのままツルベで今度はリードで攀じる。


1ピッチ目も2ピッチ目も、ガバオンリーで緊張するパートは皆目無かった。
2ピッチ目の終了点には支点になるものは無く、木の枝は雪庇の近所なので遠慮した。

何度も練習しているスタンディングアックスビレイにした。
そこから肩がらみで好人ちゃんをビレイすることにした。


阿弥陀北陵名物のナイフリッジには残念感がハンパ無かった・・・
もっと長く、もっと高度感があると思っていたのだが・・・
正直、今日の天候ならフリーで登れるよね・・・


1ピッチ目も2ピッチ目も取り付き点にはボルトが打ってあるので分かりやすい。
それぞれの中間地点にも支点(ボルト)がある。


登攀が終了すれば阿弥陀岳ピークまで雪稜をまったりと登って行く・・・
全ての条件が整いすぎる幸せを恨むような贅沢な気分に包まれた・・・
大人達の小さな冒険にはもう少し困難があったほうが結果として楽しいのだろう。


まあ、でも、念願叶っての八ヶ岳積雪期バリルートに、
ジョインしてくれた好人ちゃんには感謝しかない。
ありがとね〜♬


午前11時10分に阿弥陀岳ピークハント♬
もう少しハイな精神状態になるのかと想像していたが・・・
不思議と冷静で穏やかな心境であった・・・


びっくりするほど無風に近い阿弥陀岳ピークから、八ヶ岳のパノラマを満喫する。
北八ヶ岳はすぐ側に見えるし、遠景は北アルプスまで目視できる。
南を向けば南アルプスから富士山まで拝めるんだよ♬
ここは幸せな場所だよねぇ(笑


トモゾーとkumiちょは硫黄岳ピストンから下山しているだろう。
阿弥陀岳から中岳のコルまでのゲキ下りは慎重にクライムダウンで降りる。


コルからは中岳沢の最短ルートで行者小屋に向かう。
雪崩の多い沢筋だが今日の雪質なら問題はなさそうなのでチョイスした。


好人ちゃんのハイペースに引っ張られながら行者小屋には12時過ぎに到着した。
行者小屋でレストした後は赤岳鉱泉まで下りランチタイムにした。


赤岳鉱泉まで早くに降りてきていたトモゾーは先に下山することになった。
また大阪で宴をできればいいね〜♬

僕たちはランチ後にテントを撤収し赤岳鉱泉テン場を14時前に出発した。


下山はkumiちょを先頭に歩いたのだが、
デカザック担いで赤岳山荘駐車場まで1時間20分ほどのハイペースで到着♬


堰堤広場を過ぎた辺りで今回のデカザックなバックシャンを撮影♬
やはり50mロープが雨蓋からはみ出している好人ちゃんが一番男前だね〜(笑


下山後はいつもの原村の、もみの湯で汗を流して帰りましたとさっ!
翌日も休みやったら割烹いまだで、亨さんとkeikoさんと宴するのにな〜♬


さてさて、次回はどこのバリエーションルートにステップアップしましょうか?
totoちゃんに相談しながら模索するのが楽しかったりするのですよ♬
go a head !

14 件のコメント:

  1. 初登攀おめでとうございます。

    初めての冬期登攀は心に残ります。

    いい思い出がふえましたね。

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  2. 親方kazuchan

    コメントありがとうございます。
    少しずつスキルアップできればと考えています。
    山の想い出は少しでも多い方が幸せですよね♫
    機会があれば御指導お願いいたします。
    宴の席でもオッケーですから(笑

    ブロブ TO THE LIMIT をリンクさせてもらいました!

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    1. ブログ リンクありがとうございます。
      つまらないブログですがよろしくお願いします。

      私のような者が指導なんてとんでもないですw
      機会があれば是非ご一緒させていください。

      私のほうのブログでもリンクさせてもらいますね。

      今後もよろしくお願いします。


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    2. kazuchan

      kazuchanのブログは独特の文体が読む者を引き込む魅力があります。
      少し前から隠れファンでしたから(笑
      今後とも宜しくお願いします♬

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  3. いつもながらうまい事まとめてるよね★
    かっちゃん。こちらこそ感謝です! ホンマにありがとうね。
    暖かくなれば岩で練習しよっか。
    来年さらに難易度が高いコースへ行けるように。
    アイゼンの取りつけ場所がいいね♬
    すぐに取り出しやすいし。マネしよっとヽ(^。^)ノ
    じゃ、今度は講習会でお会いしましょう(*^。^*)
    ほなぁ~

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  4. えれぇこった2号2018/03/16 19:26:00

    かっちゃん、好人ちゃん

    初バリエーションお疲れでした!!
    阿弥陀北陵は、取り付きまでが核心だっていつも思います♪

    さて、次は何処に行かれるのかしら?

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  5. (^_-)-☆
    阿弥陀北稜お疲れ様~
    ちと簡単だけど楽しめるルートで話してたように取付きまでのアプローチの方が核心かなぁ~
    それにしても…………
    ここで長時間の待ちって…………
    前のパーティーは何してたんやろうねぇ~

    又、次のルートが楽しみやねぇ~

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  6. 好人ちゃん

    お褒めの言葉、ありがとうございます。
    今年は去年よりはもっと岩トレ頑張ろうよ!
    来季の積雪期によりスキルアップ出来るように頑張りましょう♬
    その前に大阪府山岳連盟の先生達にシゴいてもらいましょう(笑
    ユルい山行では本沢温泉も楽しみやね〜♬

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  7. kakaちゃん

    ありがとうございます!
    確かにジャンクションピーク前後が核心部やと思うわ〜
    次はtotoちゃんにあれこれルートを教わって下調べ中です♬

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  8. totoちゃん

    行く前からあれこれとアドバイスをありがとね〜♬
    僕と好人ちゃんのパーティーがポンコツ呼ばわれされないようにしてたけど、
    僕らの前にはとんでもないポンコツパーティーがいてたようやわ〜(笑

    次回は教えてもらった横岳西壁の大同心稜も候補やで〜♬

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  9. まぢかっ!

    おっと…ご無沙汰しております。
    ちょーニアミス!
    なんで気付かなかったんだろう(>_<)?
    我等はその土日、赤岳鉱泉に宿泊してステーキ食べてますた(°▽°)

    アテクシ、4年ぶりの雪山降臨。
    オーソドックスに地蔵で赤岳登頂でした。

    お会いしたかったですぅ。

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  10. バウルーマザーmie・・・・・・・・

    こちらこそ・・・まぢかーーー!!!
    自炊室を覗いていただければ、ドンチャンしてましたのに〜
    もしくは僕たちが消灯前の雪山講習会の演説を覗けば顔が合ったかもでつねw

    いや、でも、しかし、マザーが4年ぶりの雪山降臨の地にご一緒できたのは本望でつw
    てか、今後はもっとテレパシー力をアップさせて入山したいと考えまする!(笑

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  11. かっちゃん
    まいどです~(^-^)/
    バリルートめちゃ楽しそうですねぇ~(^-^)
    そこへ行けるかっちゃんや好人さんが持ち合わせてるスキルに憧れます~(^o^)/
    ロープやガチャ類の使い方を理解していない僕には、見ることが出来ない景色があるんだろうな~

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  12. takaちゃん

    まいどやで〜♬
    バリルートは楽しいけど僕らはめっちゃビギナーなので!(笑
    簡単にはスキルアップできないので、ボチボチ努力してます。
    やはり山岳会の講習会に出るのは間違いなくスキルアップにつながります!
    自己責任と言う言葉より強く感じられるバリルートは必死のパッチやで〜(笑

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