2014/11/24

Winter Mountain Safety Seminar


 20141114 fri 「山で命を落とす人をひとりでも減らすために」

THE NORTH FACE 主催の冬山における遭難事故検証と冬期山岳気象の机上講習会。
FacebookのTNFの告知で知りkumiちょと二人ソッコーで予約しておいた。
当日はグランフロント大阪のカンファレンスルームで50名程が受講した。

長野県警山岳警備隊の方が前半を担当し、後半は山岳気象予報士の猪熊隆之氏が担当。
猪熊氏はご存知ヤマテンの代表で竹内洋岳氏や栗城 史多氏やイッテQ!のイモトを
山岳気象予報の側面から支えるなど海外高所登山気象予報のオーソリティーだ。

最近ではTV番組「マツコの知らない世界」 でマツコに「孤高の変態ね!」と言わしめた。
饒舌なトークは流石に講演慣れしているというか多くの余談も含めて楽しめた。
Facebookでは何度かお話させていただいていたので不思議な感覚だった(笑



講演前半担当の長野県警山岳救助隊のゲンママサキさん。
やや緊張気味でテクニカルなお話が始まった。
赤と黄色のシャツが不似合いに思うくらい優しい表情の男性隊員。
だが山岳救助隊勤務17年間で800件の遭難事故/500名の救助という猛者なのだ。

長野県は日本トップの入山者数を誇る。自ずと遭難者数も日本一なのだ。
去年は長野県の山に約74万人が入山し300件の遭難事故があった。
死者65名。行方不明9名。負傷者は160名。残念ながら全て全国1位だ。
長野県の遭難の特徴として滑落遭難が多いと言う事。全国的には道迷い遭難がトップ。
遭難事故の8割が中高年なので僕達世代は他人事ではない。


遭難後の救助要請で最も多いのが昨今は携帯電話なのは周知の事実。
だがそれは有人小屋がオープンしている期間限定の話なのだ。
有人小屋には携帯電話会社のアンテナが設置されている。
だが冬になり小屋閉めされれば電力もシャットダウンとなる。
自ずとアンテナもその仕事ができなくなってしまう訳だ。
冬期に北アで遭難するなら携帯電話が繋がる西穂や燕岳や赤岳がお勧めかな(笑

僕は山岳保険に入るのは当たり前だと思っているから毎年更新している。
ゲンママサキさん曰く遭難したら100%金はかかるようだ。
県警のヘリは金がかからないから大丈夫って話は本当なのだが、
救助要請が入った段階でヘリとは別に民間の地上班が必ず動くらしい。
遭対協などが敏速に動くので基本0円遭難は無いと考えてほしいという話。


中には裏事情に長けた山岳会の古参などは遭難救助要請時に指示するらしい。
「まだ致命的ではないので遭対協は動かすな!県警のヘリまで待つ!」とか・・・
もっと酷いのはヘリの帰着地を指定するらしい。
「松本はダメ!岐阜側に車置いてるから西へ飛んでくれ!」とか・・・ (笑

ただGPS搭載のスマホからの救助要請は見つけ易いようだ。
県警所有のヘリやまびこ1号・2号から誤差10m前後で把握できるらしい。
実際の救助中の動画も見せていただいた。隊員に装着されたGoProの映像だろう。
目を背けたくなるような血まみれの滑落者の映像と何度も鼓舞する救助隊員の怒鳴り声。
ヘリの爆音とマネキンのように動かない滑落者。ハンパないリアルを見てしまった。


後半はヤマテンの猪熊さんが登場。「孤高の変態、猪熊です!」って自己紹介・・・
つかみはビミョーにドン引きですたw
竹内さんしかりで・・・テレビ出たら・・・なんか有名人オーラ出したなるんかなぁ・・・
でも猪熊さんの講演は間違いなくおもしろかった。
伊達に厳冬期の北鎌やってないよな〜とか、かなり魅了された(笑

尾根や稜線において冬期の雪山で先行者のトレースを信用しない事。
先行者が雪屁の上を歩いていたのかもしれない。
先行者は無事でも自分は雪屁を踏み抜き滑落ってことも十分ありえるからだ。


暴風雪などによる視界不良→道迷い→気温の急下降→行動不能→低体温症。
午後から気温上昇がトリガーになり表層雪崩やブロック雪崩。
就寝後の大雪による幕営中の窒息など 冬山のリスクを上げればきりがない。

山行計画時も行動中も常に引き返しポイントを想定し意識を心掛ける事。
「引き返しポイント」のアドバイスを猪熊さんが何度もされたのは印象的だった。
僕は勇気ある撤退は得意分野だが・・・(笑) これからも臆病でいようと思う。

講演後にレジュメをいただいた。
さすがヤマテン代表!的な目からウロコな内容は復習の意欲が満載♫
とても有意義な講習(授業)だった。 知識は命を救うのですよ。


当初、講演の最後に質疑応答タイムが設定されており、
冬期の天候について猪熊氏に変化球的質問をぶつけてみたかったのだが・・・
講演が終わったのが午後9時となりタイムアップとなってしまった(残念

猪熊氏のサイン入り書籍もソッコー完売で購入できず・・・←ただのミーハー(笑


アンケートで参加理由を問われた。  答えは簡単だろ。

「冬期入山において自分も仲間も遭難事故のリスクを少しでも減らすため」だ。

山で死んじゃいけないよ。  絶対に・・・ 絶対に・・・

4 件のコメント:

  1. 私も某山山小屋で富山県警の隊員による講習を受けたことがあります
    朴訥な語り口調に隠された、救えなかった数々の命の重さ、悔しさ
    みたいなものが滲み出てて、深い感銘を受けたことを覚えてます
    つい最近、雑誌に救助隊員の記事が載ってて、そこに
    その隊員の姿が映ってて、あぁ、まだ救助活動頑張ってるんだ!
    って思うと、しみじみ嬉しかったです、なぁんて、とりとめもなく。。。

    例のヤマは、お互いジジイになって手をとりあって老々介護登山でね^^;

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  2. このセミナー参加したかったんだけどね〜
    また、教えリレーしてねm(__)m
    文中にあるような救助要請しておいて、指定するとか…………
    あり得んよね(~_~;)
    でも要請があったら行ける時は飛ばなあかんし囧rz
    ほんと救助隊の方には頭上がりません。

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  3. スロトレさん

    県警の山岳救助隊員の経験なんて僕らの想像を絶する事なのでしょう。
    人の生き死にを目の前で何度も何度も体験しているのですから・・・
    でもね、目がね、とっても澄んでてきれいのですよ。
    不似合いな程、穏やかな表情が逆に凛とした凄さを感じました。

    例のヤマ・・・ジジイになったら是非とも老老介護登山でお願いします(笑

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  4. えれぇこった1号ちゃん

    参加できなくて残念やったねぇ・・・
    またチャンスがあればいつでも誘うからね!
    僕達は無謀な登山者にも無謀な遭難者にもならないように注意しましょう(笑
    いやほんまに県警の山岳救助隊員には頭上がらないよね。

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