2015/04/06

The Old Dog and the Sea / Latter part


20150314 sat - 17 tue 澎湖諸島・老犬と海」後編

夜明け前、七美島の民宿にスマホのタイマーが唸りを上げる。
壁にスマホを叩き付けそうになりながらも辛うじて右手を下ろした。
今年、機種変更したばかりの i phone 6だ。まだ壊せない・・・

山の朝も早いが港の朝も早い。昨夜の酒は残って無さそうだが・・・
昨日は久しぶりに漁船に15時間乗船だ・・・三半規管はご機嫌斜めだ。
民宿の窓から港の空を見上げる。厚い雲からパラパラとそぼ降る南国の雨。
勘弁してくれよ〜と、つぶやきながら民宿前の港に集まるクルー。

薄暗い港には朝飯の店が既に開店している。僕達は熱い麺類を黙々とすする。
今日は高雄(カオシュン)に戻らなければならない。
昨日の釣果を上回る釣果を残すべくクルーも船長も準備に余念が無い朝。




この日の昼飯は大きなチマキ。
港の飯屋でお母さん達が薄暗い早朝からせっせと働く。


全ての準備が整ってポンフーの港から出船する頃には明るくなっていた。
深夜の雨は上がったが鈍色の空がまだ不安だ。


古い港だがとても雰囲気がある。
台湾映画のワンシーンで金城武が走ってそうだよ。


日はまた昇る。
雨の心配はなさそうだ。


船はポンフー諸島の南西部の海域に向かう。
だが流石に大陸は見えない。
360度水平線に囲まれてこの日のスタートフィッシング。


朝一の船長お勧めのポイントは魚の活性も高かった。
次々に竿が曲がる。
5人全員ヒットの連続には驚いた。


昨日よりは少しはサイズアップしたようだ。
皆の竿が絞り込まれドラグからはラインが引き出されるシーンも珍しくない。


心地良い引きを楽しむ。
「デカくないなー」と言いながらも自然と笑顔がこぼれる一時。


6kg前後のカンパチが次々に上がって来る。
釣り上げればクーラーには入れず、すぐにルアーを海に投入する。


船上では彼方此方でカンパチがバタバタと跳ねている。
まさに朝のフィーディング爆釣タイムだ。


皆が喜色満面でルアーをしゃくっている。


あっという間にイグロの大型クーラーが満タンになる。
豊潤な海の恵みだよ・・・


ホンカンパチに混ざりヒレナガカンパチも釣れる。
8kgくらいはあるだろうか・・・だが目指すサイズにはほど遠い。


水深を考慮しラインテンションから潮を読む。
そこからルアーのアクションを考える。
巧みなロッドワークでルアーに命を吹き込む。


魚がヒットすれば豪腕で巻き上げるスポーツフィッシング。


潮が緩みカンパチの活性が低くなればインチクで根魚を狙う。


ダブルフックのインチクにアコウが二匹なんてことも珍しくない海域。



多種多様な魚達が釣れるポンフー南西部の海域。


船首ではYuくんもLinくんも竿を曲げ船尾のベテランに負けない釣りをしている。




どの大型クーラーもフタが閉まらなくなってきた。
嬉しい悲鳴とはこのことだろう。



大物用のヘヴィータックルからライトジギング用のベイトタックルにチェンジする。
繊細な釣りで小物達とも遊ぶ。テクニックの抽き出しはいくらでもある。



右舷にも左舷にも老舗ジャパニーズルアーメーカーの大きなステッカー。
台湾ではトップクラスのルアー漁船。ありがたいことだ。


船長は魚探やソナーで魚群を探し追いかける。
陸は見えないから山立てなど出来る筈も無い。
船長の経験と感。それに文明の利器で武装する。


スキルの高いベテランルアーフィッシャーマンより釣りの上手い船長。
この海域ではピカイチの腕だ。


ベテランも・・・


若い衆も・・・


同じユニフォームでポンフーの海を楽しむ。


結果から言うと狙っていた20kg〜30kgのビッグワンには出会えなかった。
だが大漁に恵まれ新製品一歩手前のジギングロッドやルアーのテストは十分出来た。
カーボンブランクスの高次元の仕上がりに皆一様に親指を立てた。


あと数回のテストで量産へのゴーサインも出るだろう。


結局この日も船上カメラマンに徹し一度も竿を出さなかった。
まあ仕事だから仕方が無いのだが・・・カンパチ・・・釣りたかったなぁ・・・


こんな仕事してるとまた海への憧れがふつふつと湧いて来るようで怖い。
ピッケルやアイゼンがロッドに、ザックやテントががリールに変わっている日が近いかもしれない(笑


遊びの延長が仕事って苦しいけどやっぱ楽しいんだよなぁ・・・
山じゃまったくもって無理だしなぁ・・・
まあ でも いっかぁ・・・


話変わって一般論としてのトイレがこの船には無い。
だが明確な男女共用トイレが右舷にも左舷にも並んでいる。
僕は日陰の左舷側で大きい用を足した。
船縁からヌードなお尻を突き出し左右のステンレスパイプを握り締め踏ん張る。
その開放感は絶対に山では味わえない。
しっかりとポンフーの海にもマーキング出来て幸せだよ(笑


高雄(カオシュン)まで戻らなければいけないので昼過ぎにはストップフィッシング。
ポンフーの南西部から狭くて快適な船室で6時間の爆睡タイムだ・・・


夜の帳が下りた高雄(カオシュン)に帰港。
大型クーラーから次々に魚が放り出される圧巻の光景。
遊魚というよりはさながら漁だねぇ。


帰港すれば連絡済みの業者がトラックでお出迎え。
魚種ごとに分けて単価を説明しデカい計りで重さを計測する。
アングラー達が土産に持ち帰る魚以外は全て買い取ってくれる素敵なシステム。


深夜の高雄(カオシュン)の街に戻って遅い晩飯@反省会だ。
生ビールを頼んだら瓶ビール(生)が出てきた・・・
郷に入れば郷に従えだ・・・


日付が変わろうとしている時間帯でも人通りは多い。
オープンカフェ的な台湾晩飯を食らう。
ジャパニーズ二名×タイワニーズ三名でボケとツッコミの応戦が続いた(笑


下山後も下船後も話題は同じなのだ。
結局は次回のセッションやジョインの話に尽きる。
もちろん技術論や情報交換も同様だろう。


五人じゃ食いきれない程の魚料理を満喫した頃には日付も変わっていた。
さて・・・千鳥足で台湾マッサージにでも行って宿に戻ろうか・・・


旅に出よう。一泊でもいいし一週間でもいい。山でも良いし海でもいい。
旅に出よう。仕事でもいいし遊びでもいい。普段の日常から逸脱しようじゃないか。
旅に出よう。非日常の自由は感性を育む。 でもその自由は不自由な日常があるから。

旅人になろう。昨日の出合。今日の物語。明日の期待。
旅人になろう。独りがいいかもしれない。でも二人がいいかもしれない。
旅人になろう。ワクワクもドキドキもいつだってすぐ隣りにあるんだから。

Ernest Miller へのオマージュは・・・無かったやん・・・

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