2012/10/14

Wilderness Corridor / second day


20121006 sat - 08 mon 下ノ廊下(旧日電歩道)宴中日

下ノ廊下・初日は昼過ぎから宴が始まり健全に午後七時過ぎにはお開きとした。
幕に戻り寝袋に潜り込み爆睡の筈が午後十時過ぎにまさかの覚醒。
仕方ない。オービットをミニマムで小一時間程ちびちびとウィスキーを煽る。

だが小雪も美穂も現れない。側でkumi長が小さな寝息をたてているだけだ。
ウィスキーがお好きです〜♪ もちろん麦酒も好きだが壇れいも現れない。
半覚醒状態の緩い思考回路で妄想するも点と点は線で結ばれない悲劇。

再び浅い眠りに落ちてゆくも夜半に幕を叩く雨音に神経は覚醒してゆく。
夜明け後も降雨が続けば今回も撤退という選択肢を選ばざる得ないのだろうか。
負の思考は夜明け前に快方へと向かった。雨は上がり今日の決断は前へ進む事。


やれば出来る子を目指している大人達は久しぶりに真面目に起床した。
午前三時すぎには睡魔に背を向け前頭葉は覚醒してゆくのであった。


朝食もしっかりと雑炊をいただき午前四時半にはテン場を後にした。
ロッジくろよんの超過密状態のテント群を抜けトップクラスの早さでスタート♪


そうさ、僕達はとうとう起床遭難とも縁を切れたのだ。
今シーズンは”ほどほど”の深酒を習得しているところだから(笑


もちろん早立ちした事にも理由がある。
アップダウンの少ないハイキングだがロングルートである事。


そして阿曽原温泉小屋が一年で一番の繁忙期である事。
阿曽原温泉小屋は秋の約二ヶ月間程しか営業していない。


毎年必ずルートの修繕が必要な雪深い黒部の秘境は一年の大半が通行不可。
そして10月の三連休。考える事は皆同じ。混雑しない訳が無い。


去年は崩落事故で下ノ廊下を歩けなかった人が今年こそはと考えるのは不思議ではない。
だから今年は混雑必至だろう想像することは容易い。ならば早立ちは当然の計画。



阿曽原温泉へのルートも多い。黒四からのルート。欅平からのルート。仙人からのルート。
黒部ダム駅でストレッチ&トイレタイムを済ませ、まだ薄暗いに黒部川に下りて行った。


黒四の最下部で一度だけ黒部川を徒渉する。
そこからは吊橋を渡ったりするが、最後まで下ノ廊下の左岸を歩く。


左岸の岩や針金にザックの何かを引っ掛けての滑落のリスクもある。
だからザックの左側にストックやマット等を収納しない事が基本。


それだけではない。危険は他にいくらでもある。
高度感たっぷりのルートはどうしても足下ばかりに気が行く。


場所によっては天井の低い廊下も少なくない。
足下ばかりに目線をやっていると頭上がおろそかになる。


不覚にもヘルメットを忘れた僕は数回も岩に頭突きをかましてしまった(泣
オデコ付近に小さな傷を数カ所も作ったことは内緒(笑


同じくヘルメットを忘れたkumi長に頭突き傷はなかった。
人生において数少ないコチビメリットがあったようだ(笑


下ノ廊下の渋滞ポイントの一つ。
太い丸太梯子の高巻きポイント。


高度感も有り多くの入山者が核心部のように思うパートかもしれない。
kumi長はウルトラデッドスローで泣きそうになりながら下降していた(笑


そんなリスキーなパートでもレンズを向ければレヂーkkは演技を忘れない(笑
手を上げ、口を開け、・・・女優だねぇ・・・(爆


ただただ美しい峡谷美に心奪われる一時。
このルートは再訪したい場所になりそうな予感♪


黒部川別山谷でレストするパーティーも多い。
僕達もここでしばしデカザックを降ろす。


絶壁に見える壁をロープとアンカーを頼りに攀じる。
登りだせば見た目程の恐怖は無い。


前方の妙齢な御婦人パーティーもガシガシ登っておられた。
多少の登山スキルがあればモーマンタイ♪


後からビッグパーティーが到着したのを機に僕達も腰を上げた。
kumi長も真剣にガシガシ登ってもらう♪


赤ムケの壁に向かう下ノ廊下。
ゆるやかなアップダウンを繰り返しながら、
下ノ廊下は黒部の壁にくっきりと刻まれている。


高度感と幅の狭い廊下。それにオーバーハングした天井や鎖ではなく針金な手摺。
多くのギミックがアトラクションをより楽しくしてくれるのだろう(笑



白竜峡あたりが最も険しく感じたような気がする。
左手が極太の針金を握る頻度が多かったパートだと思う。


危険な場所と安全な場所を分ける程の差はない。
手や足を滑らせ落ちれば一発サヨナラ系のルートなのだから。


酸素を多く含んだ清冽な流れは黒部の美しい岩魚を育む。
トロ場では何度も尺オーバーのトラウト達が悠々と泳ぐ姿を確認出来た。


当然の事だがすれ違いも幾度かある。黒四からと仙人&阿曽原方面からとのすれ違い。
通常の登山道の幅ではないから場所によってはかなりの緊張を強いられる。



壁を回ったところで対向者とバッタリ等も珍しくはない。
その場ですれ違いが出来れば良いが無理なら何方かが戻らねばならない。
その辺は大人として譲り合いの精神と笑顔で対処できればと考える。


地図で確認しながら進んでいたつもりだが、いきなり現れた十字峡。
これには予想外の気持ちで四人ともビックリ。


十字峡の手前までは昭文社の山地図の標準CTは厳しかった。
テン泊のデカザックを担いでいるとはいえ標準CT通りがギリだった。


だが十字峡を過ぎてからは昭文社の山地図の標準CTの半分近いタイムで歩けてしまう。
地図製作時の歩いた担当者が違うのだろうか?


僕達は地図に記載された標準CTに若干の戸惑いを覚えながらも先へ進む。
昭文社さん・・・クレームは来ていませんか?(笑


十時峡を抜けてからは更に高度感も増し半月峡〜S字峡と、
美しも険しい回廊は延々と続く。


崩落の傷跡は至る所で確認できる。
上も下も右も左も注意を怠らず先へ進もう。


程なくして関電黒四発電所が目に飛び込んでくる。
レトロでシンメトリーな昭和建築が峡谷の岸壁に不思議と溶け込んで見えた。


この辺りから急な下りを進むと東谷吊橋に到着する。
東谷吊橋は十時峡の吊橋より倍以上長い。当然振幅も大きい


三人は楽しそうに嬉々として渡っている。
僕にとっての下ノ廊下の核心部はココだったかもしれない(笑


高度差が100mでも200mでも岩稜帯の通過に恐怖を憶える事は無いが、
足下がスケルトンなシーンは有無を言わさずNGなのだ(泣


僕は鬼の形相で対岸の一点にフォーカスをロックオンして吊橋を通過した(笑


東谷吊橋を渡って十数分。
ターコイズブルーのインクを流したような湖面をたたえた仙人ダム。
黒四の色とは違う神秘的な碧に息を呑む。


仙人ダムのウォータースライダー(放水)も迫力満点。
ライドオンすれば対岸の壁に直撃して気絶し滑落し黒部川を流れてゆくのだろうか(笑


この扉から関電仙人ダム内を通過する。
小動物が入り込まぬよう扉は必ず閉めましょうね♪


かなり雰囲気のあるトンネル的な通路を数分も歩けば人見平側に抜けれる。
ある種の秘密基地的な空間が異次元ぽさを醸し出してくれる。



僕は未読だがいわゆる吉村昭「高熱隧道」の世界。
隧道を横切る時にサウナの様な高熱の熱風がモワ〜〜〜〜!っとね。


モデルさん。指示通りの演技をありがとね(笑


仙人ダム宿舎の人見寮を回り込むと本日最初で最後の急登が現れる。
僅か20分ほどの急登だがロングルートのラストとしてはパンチが効いている(笑
老犬は老犬らしく朽ちそうになりながらグダグダで登るのであった(汗


登ったら降りる! ゲキ登りの後はゲキ下りが待っていた(汗
そしてようやく辿り着いた阿曽原温泉小屋♪


依存症’sパラダイスを発見!(嬉々
今宵も大量に大人買いしてやるぜっ!(笑


なんとか午後一時前には未だがらがらのテン場に到着した。
黒四ダム駅からはほぼ予定通りの7時間半のコースタイム(レスト含む)。
予想はしていたがやはりロングルート。後半は若干の満腹感があった(笑


テント設営もそこそこにまずはプシュッ!と、お疲れ!の乾杯。
まあこの後も何度も何度も何度も何度もプシュッ!と続くのであった(笑


テン場のすぐ上に阿曽原温泉小屋。
ここの小屋も鑓温泉小屋と同様にプレハブスタイル。


冬期小屋閉めイコール解体作業が行われ、夏期の小屋開けイコール組立作業となる。
雪崩の巣窟となる豪雪地帯ではこのスタイルが最も適正なのだろう。


テント設営後、本日最初の女風呂タイムにレヂーkkとkumi長が先に入浴。
その一時間後、男風呂タイムにダッシュで温泉まで下りた。


一時間ごとにに男女入れ替え制で20:00以降は混浴になり早朝も混浴。
こんこんと湧き出る源泉掛け流しの湯は熱い。
よって沢の水もひかれてブレンドされるので場所によって寒暖の差ができる。


あっと言う間に湯船は満員御礼状態。むさ苦しい男の裸祭りであった(汗
湯船に漬かる順番待ちが出来る時間帯もあったので老犬’sはカラスの行水で退散(笑


テン場に戻ると僅か半時間ほどで難民キャンプと化していた。
テン泊のハイカーが次から次へとやって来る。トイレの前でも関係無し。


阿曽原温泉小屋のインフォメーションによればコンパクトなプレハブ小屋泊も90名弱。
布団一枚に二人以上は確実な状況。一年で最も宿泊者の多い日になったようだ。


そんなゲキ混みの難民キャンプをよそに今宵も「山より宴」が始まった。
この日もレヂーkkとkumi長がソッコーでフラットな宴スペースを確保してくれた♪


焼き鳥♪


厚揚げ♪


焼豚♪


ジャガイモ♪


僕たちの宴の横では仁義無き場所取り合戦がヒートアップしていた。
多少の傾斜地でも無問題で幕は設営されてゆく。今宵も立錐の余地無し(笑



さて二合の飯盒が炊けた。カニの穴ができている。
むむ〜♪ 美味そうじゃないか。


豆やらイカ天やらを和えたサラダの味は新発見♪
アレンジ次第ではまだまだ奥の深い何かが生まれそうな・・・(笑


今宵のディナーは新鮮野菜たっぷりの寄せ鍋。
最近ヘビロテな鍋キューブなら四人前で4キューブをインするだけ♪



分厚いベーコンを山盛り入れたので出汁の旨味は倍増〜。
ひんやりした気温のテン場で熱々鍋はたまりません♪



ザックから無尽蔵に美味い物が出て来そうな勢いの宴は続く(笑
伊達に25kgザックを歩荷していない。
食材を含めてコンフォータブル満載の旅なのだから。


夜が更けてもテントの灯りは少なくならない。
大声やら笑い声はしばらく続くがこれも旅の楽しい記憶となるだろう。


たくさんの笑い声は、たくさんの笑顔。
忘れてはいけない事もたくさんあるけど日本はまだまだ幸せなんだよなぁ・・・。


久しぶりに”汁だく特盛”なレポを書いてしまった。
最後まで駄文なブログにお付き合いいただきありがとうございました。
さて、水平歩道な最終日・・・レポはいつになるのやら・・・(汗

6 件のコメント:

  1. モデルもムーチョ大変やわ〜☆

    キャプションを微妙にphにリンクさせつつ、
    なおかつ交わしつつ、淡々と綴る。
    変化に乏しいシチュエーションの
    理想的なレポ技の見本ですな!
    勉強になりまつ☆

    鍋キューブサイコー。
    ケミカルはやはり便利ですな〜!!

    風呂のみなさん、もう、ご立派過ぎて(笑)

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  2. 懐かしす!
    わたしはまた行きたいと思っているのだけど
    相方はもうお腹いっぱいだそうです。

    ヘルメット被ってないし背もデカいけど頭はぶつけてまへん。
    針金持った記憶もあまりございません。
    残雪が少なく高巻梯子のスケールがイマイチでガッカリしたものです。
    そんなわたくしですが、沢のヌルスベの岩には足を置くのもガクプルです。
    人間て、おかしなものね・・・(遠い目)

    グリーンのテントの手が怖すぎまつ。

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  3. daiちゃん

    無理難題な演出にも見事な応えっぷり!(笑
    流石バッタから成り上がって来た老犬でつw

    >理想的なレポ技の見本ですな!

    ありがとうございます(汗
    ただただ、のらりくらりと書いておるだけでつw

    ケミカルサイコー!(笑

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  4. mieさん

    以前に歩かれてましたよね♪
    確かに後半はかなりの膨満感がありますよ(笑
    僕はもう少しジジーになったら再訪予定です。

    確かに高所での恐怖の覚え方も十人十色ですよねぇ(汗
    お互い少しずつ少しずつでも克服していきましょうぞ!

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  5. リク通りの”汁だく”っぷりに萌えw
    十字峡では川に降りなかったのですね
    私はあそこで黒部のナニカに憑りつかれたのです
    (それって何やねんて突っ込みはナシってことで)
    白竜峡がいろんな意味でピークですよね
    危なくて、そして美しくて
    こんなとこ歩いてええんやろか的な・・・
    この後は未踏なのでさらに期待してます
    もちろん”ネギだく”でw

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  6. 特盛レポは疲れますたw
    十字峡では先を急ぐモードになっており残念ながら
    下に降りる選択肢は忘れていました(笑

    確かに白竜峡あたりが最も甘く危険な香りがしたかと。
    やはり下ノ廊下が主演で水平歩道は名脇役かと・・・。
    黄金の右肩が上がらず最終日はレポはミニ盛になるかと(汗

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